2015 Fiscal Year Research-status Report
「アイドル」文化を活用した地域振興に関する基礎的な研究
Project/Area Number |
15K16675
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田島 悠来 同志社大学, 研究開発推進機構, 特別研究員 (10737555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アイドル / ポピュラーカルチャー / 地域振興 / ご当地アイドル / コンテンツツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本における「アイドル」文化が、地域の活性化にいかに機能しているのかを探ることにある。本年度はまず、初年度の研究計画に則り、全体像を把握、見取り図を作成するために、全国各地にどのような「ご当地アイドル」(地域に根ざして活動を行う「アイドル」)が存在しているのかを、『ローカルアイドルパーフェクトガイド』『全国あいどるmap 2013-2014』『まっぷるご当地アイドル』といっ たプリントメディアでの紹介と「ご当地アイドル」を47都道府県ごとに招集し地元をPRするためのサポーターと位置づけた「NHK恋する地元キャンペーン」への参加という条件をもとに抽出し、「北海道」「東北」「関東」「中部」「近畿」「中国・四国」「九州」7つの地域にわけ整理した。その結果、現時点で129組(908人)の「ご当地アイドル」を抽出した。次に、事例収集のために、そのなかから、本年度は、すでに研究に着手していた岩手県久慈市の「ご当地アイドル」である「あまくらぶ」並びに、見取り図の内訳をみると、2010年以降に結成、活動を開始したものが多かったことから、2010年以降に結成したグループのうち、「ご当地アイドル」の数が多い地域、なかでも知名度が高いもの、地域振興と関連性が高いと判断した「ご当地アイドル」の関係者およびメンバー(可能である場合のみ)合計10組に聞き取り調査を実施した。また、イベント開催時に参与観察も合わせて実施している。その成果を、カルチュラル・スタディーズ学会、観光学術学会、メディア・コンテンツ・ツーリズム研究会など各種学術会議での口頭発表や『評論・社会科学』、『出版研究』などでの投稿論文としてまとめた。また、これらの研究活動が『京都新聞』(2015年11月12日朝刊)にて紹介され、研究成果を国民に向けて発信することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに進展していると言える。ただし、申請書作成段階では継続的な活動の観察を想定していた「あまくらぶ」が解散するという事態が発生した。そのため、計画書通り、本年度は「あまくらぶ」が活動を行う岩手県久慈市において現地調査を行い、関係者に聞き取りを実施し、運営方針や解散に至る経緯などヒアリングを行うことで,「ご当地アイドル」がいかに活動を継続させていくことができるかではなく、持続的に活動を行うことが困難な状況とはどのよう場合かという問いに対する答えを洗い出すことに転換し調査を実施することにした。その上で、他の事例(現時点では9例)と比較し、事例同士をかけあわせることで、地域に及ぼす効果を多角的に検証、そのメカニズムを解明し、実効性と持続性のある地域振興への貢献を目指すという本研究の軸はぶれずに着実に研究目的を達成できていると考えるため「おおむね順調」という区分を選択している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、当初の計画通り、まずは、継続的・長期的な調査実施を念頭に置いて、本年度までに行った事例に対するより深化した観察を引き続き行う。加えて、さらに調査対象を増やし、さまざまな事例についての調査(聞き取り調査、参与観察)を実施することで、「ご当地アイドル」と地域振興との関わりについて、そのメカニズムの解明のために努める。 蓄積した研究成果については、国内での学術会議での発表に留まらず、国際的な場所での公開(学術会議への参加および国際ジャーナルへの論文の投稿)も果たしていくことを目指す。また、当該関連分野の他の研究者とのネットワークを強化し、研究会を実施したり、学術的な共同著書を執筆したりすることを通じて、本研究のさらなる発展と、一般への公開を促進させていく。
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Research Products
(5 results)