2015 Fiscal Year Research-status Report
アイスランド語発音辞典データベース構築のための記述言語学的基礎研究
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15K16729
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
三村 竜之 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00647662)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アイスランド語 / 音声学 / 音韻論 / 発音辞典 / データベース / 記述言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に沿って、1. 資料採取、2. 分析・解釈作業、3. 電子化作業、4. 研究成果の公表の4項目に分けて平成27年度の研究実績を報告する。 1. 資料採取: 平成27年9月と平成28年3月の二度に渡り、アイスランド共和国レイキャヴィーク市にて母語話者一名を調査協力者(インフォーマント)として実地調査を行った。アジア・アフリカ言語文化研究所 (1967) の『基礎語彙調査票』や森 (1996) の語彙集をもとに調査票を作成し、適宜、調査対象となる音声現象を含む項目も盛り込んだ。調査の一部始終は協力者の了承を得た上でデジタル機器にて録音。併せて、調査項目や関連事項を文字資料(フィールドノート)として記録した。 2. 分析・解釈作業: 当初の計画通り音素分析と韻律的側面の分析を中心に進めた。音素分析に関しては、こちらも当初の計画通り無声の鳴音(sonorant)、特にふるえ音/r/の分析と解釈を重点的に進めた。韻律的側面としては、アクセントやリズム、音調の分析と解釈を進めた。いずれに関しても、その実態を詳細に捉えるべくコンピューターを用いた音響分析を通じて数値化並びに視覚化を行った。また、音韻論的な解釈作業を施して、それぞれの現象がいかなるメカニズムや規則に基づいて生起するかについても解明した。 3. 電子化作業: 市販のデータベースソフトを用いて資料の電子化を計画していたが、当初予定していたデータベースソフトの動作が芳しくなく、新たにデータベースソフトの使用を検討している。採取した資料の約3分の1を新しいデータベースに対応する形式で試験的に入力し終えている。 4. 研究成果の公表: 無声ふるえ音(voiceless alveolar trill)に関しては学会発表一件と論文一本を公表した。リズムや音調に関しては研究発表二件と論文一本を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って、1. 資料採取、2. 分析・解釈作業、3. 電子化作業の三項目に分けて進捗状況の概略を述べる。 1. 資料採取: 3年間の調査で採取予定の約2000項目のうち、平成27年度は約530項目を採取。実地調査を進めるにつれて、先行研究においても言及がほぼ皆無である諸現象(子音連結の簡略化)が発見されたため、調査項目を一部変更した。その結果、当初予定していたほどは項目の採取が進まなかった。 2. 分析・解釈作業: (1) 音素分析: 母音音素に関してはほぼ分析を終えている。子音音素に関しても同様に概ね分析が終了しており、特に鳴音の分析は詳細に進められている。一方、実地調査の過程で新たな現象が発見され、そちらとの関連で一部の音声(破擦音)に関しては分析と解釈作業の最中である; (2) 韻律的側面(アクセント・リズム・音調): いずれの現象に関してもその背後にあるメカニズムに関して詳細な分析と解釈が進められている。音調に関しては、発話内容や意図との関連から追加調査と分析作業が必要である。 3. 電子化作業: 音声資料を扱うという本研究の性格上、当初予定したデータベースソフトでは動作が芳しくないことが判明し、採取した資料の電子化作業は滞っている。新たに導入を検討中のデータベースソフトに向けて、一部の資料を試験的に電子化を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の進捗状況を踏まえて、また平成28年度の研究実施計画沿って、1. 資料採取、2. 分析・解釈作業、3. 電子化作業、4. 研究成果の公表の4項目に分けて述べる。 1. 資料採取: 平成27年度と同様、年度内にレイキャヴィーク市にて2度の実地調査を予定。採取が不十分である基礎語彙資料の補充を重点的に進めるとともに、これまで先行研究で注目されてこなかった外来語やアルファベット頭文字語の採取も行う。資料の記録方法は平成27年度と同様に、デジタル機器とフィールドノートを用いて記録する。 2. 平成27年度の調査を通じて新たに発見された現象(子音連結の簡略化)の分析・解釈作業を継続するとともに、当初の計画通り、外来語やアルファベット頭文字語におけるアクセントやリズムの分析を詳細に行う。平成27年度と同様に、必要に応じてコンピューターを用いた音響分析も行う。 3. 電子化作業: 新たに導入するデータベースソフトにこれまで採取した約530項目の資料をすべて入力・電子化することを目指す。 4. 研究成果の公表: 平成27年度と同様、分析・解釈作業の結果を学会発表や研究発表、論文として公に公表する。
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Causes of Carryover |
当初予定してたよりも旅費を必要としなかったため(時期により国際航空券の価格並びに滞在地の宿泊代が変動するため)、その差額として220円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査資料をデジタル機器にて録音する際に必要となる記憶媒体の購入費用(の一部)として使用する。
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Research Products
(5 results)