2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K16748
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岡田 理恵子 昭和大学, 発達障害医療研究所, 助教 (60550910)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | fMRI / 音素獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、fMRIを用いて第二言語の音素獲得時の神経メカニズムを解明するものである。平成28年度は、fMRIの本実験を進めた。
fMRI課題は、日本語に存在しないハンガリー語の2種類の母音の弁別課題とした。この2種類の母音は日本語母語話者にはともに/u/と認識されることの多い母音である。本課題を用いて、第二言語の音素を学習し弁別できるようになる際の神経メカニズムを明らかにしようとした。コントロールには1kzの純音を使用した。
被験者にはタブレットで行える音素学習課題を2週間家庭で行ってもらい、学習前、学習中期(1週間後)、学習後(2週間)にfMRI実験に参加してもらった。本年度は12名の撮像を行い、10名の解析可能データを収集することができた。 予備解析として、2種類の母音と純音をregressorとして立て、学習前、学習1週間後、学習2週間後を比較する賦活解析を個人レベルで行った。その結果、純音に反応する時に比べ母音弁別を行っている際には学習2週間後において左下前頭回から島前部にかけ学習前より優位な賦活を認めた。行動データにおいても2週間後に弁別課題の成績が上昇した。これらの結果から、学習後期において、音素のカテゴリー情報に関わるとされる下前頭回が機能すると考えられた。予備解析では、音声の音響的分析に関わる上側頭回の機能の学習段階の差異はまだ解明できなかった。今後、さらなる賦活解析を進めるとともに、機能的結合の解析を行うため、解析プログラムを作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昭和大学発達障害医療研究所では多くのfMRI研究を行っており、fMRIのデータ収集に時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたfMRIデータの解析を行う。賦活研究に加え、機能結合の解析も行うことで音素獲得に関わると考えられる音声処理、調音の運動情報、音素カテゴリーの情報の働きを明らかにする。
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Causes of Carryover |
昭和大学発達障害医療研究所では多くのfMRI研究を行っているため、データ収集に時間を要し、予定していた被験者への謝礼への予算使用が遅れた。そのため、国際学会での発表が困難となり、旅費の使用が滞った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に国際学会、国内学会への出張旅費として使用する。
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