2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K16860
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
左近 幸村 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (30609011)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロシア帝国 / グローバルヒストリー / 海事史 |
Outline of Annual Research Achievements |
期間中に、ロシア義勇艦隊の歴史に関する主要な史料は収集し、その全体像はかなりの程度掴めたと考えている。これまでの研究でもほとんど注目されて来なかったペルシア湾航路創設過程についても研究し、その成果は『国際政治』191号(2018年3月)に「ヴィッテとアジア市場」として掲載された。同時に、ヴィッテと海運の関係についてもまとめ、2017年11月にミュンヘン大学(ドイツ)のロシア・アジア史セミナーで、"Sergei Witte and the shipping associations: rethinking the Russian Empire from a maritime viewpoint"と題して報告した。 また19世紀末から20世紀初頭にかけてのグローバル化と、ロシア帝国の統合や拡張との関連についての考察も進め、その成果は池田嘉郎ほか編『ロシア革命とソ連の世紀1 世界戦争から革命へ』(岩波書店)の第1章「経済のグローバル化とロシア帝国」として発表することができた。 オデッサや黒海に関しては、2017年9月26-28日にサレルノ大学(イタリア)で開かれた地中海学会において、"A Peaceful Fight? Russia's Maritime Attempts in the Eastern Mediterranean Before WWI" と題して、オデッサから地中海の港へ向けて走っていたロシア商船の路線の政治的意義について報告し、2018年1月7日に東北大学で開かれた地域コンソーシアム次世代ワークショップで、「第一次世界大戦へ流れる川―ドナウ川とロシア帝国」と題してロシア・ドナウ汽船の創設過程を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシア義勇艦隊に関する調査はほぼ終わり、グローバル化とロシア帝国の関係もかなりつかめてきた。加えて、ロシア・ドナウ汽船やロシア商船に関する研究も進め、これらの成果を毎年論文や学会報告という形で発表している。ただし2017年度末のロシア国立歴史文書館の調査において、20世紀初頭のロシアの海運政策の転換について、詳細な史料を見つけることができたため、これらの史料の分析し研究成果とするのにさらに1年かかるものと思われる。そのため進捗状況については、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、前年度の末に収集した史料を読み込む。7月に長春で開かれるAsian Association of World Historians, the Fourth International Conferenceで、昨年のドイツでの報告を改訂して、ヴィッテの海運政策に関する報告を行うが、その際、新たに入手した史料から得た知見を盛り込みたい。史料の分析は夏までに終え、年度後半は研究全体のまとめに移る予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の目的を補完するため、2018年5月19日と20日に広島大学で開かれる日本西洋史学会大会に出席し、19世紀半ばのロシア財政について議論する必要が生じたため。この大会には司会者として出席する予定である。
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Research Products
(5 results)