2015 Fiscal Year Research-status Report
「一つの中国」コンセンサスと「平和統一」の連関ー中国の対台湾政策に関する実証研究
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15K17006
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福田 円 法政大学, 法学部, 准教授 (10549497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中台関係 / 中国外交 / 台湾問題 / 米中関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中華人民共和国(以下、中国)が諸外国の関係において台湾問題をめぐる「一つの中国」コンセンサスを形成し、それに伴い対台湾政策を「武力(平和)解放」から「平和統一」へと転換させる過程を論じる国際政治史研究である。本研究は、1970年代から80 年代にかけて、中国が西側諸国との外交関係を回復し、国際的な地位を向上させるなかで、相手国の「一つの中国」への関与をどのように獲得したのかを考証する。そのうえで、そのような関与を獲得したことと、台湾に対する政策が「解放」から「平和統一」へと転換したこととの因果関係について論じたいと考えている。 本研究においては、長期的な試みである当該時期の中国政治・外交史史料の開拓を継続しつつ、短期的には、「一つの中国」コンセンサスの形成過程と、その過程が中国の対台湾政策におよぼした影響に関する事例研究を積み重ねようとしている。そのために、1)中国における史料開拓と、2)マルチ・アーカイバル・アプローチによる中国と関係各国の交渉に関する実証分析を並行して行い、最終的には3)「一つの中国」コンセンサスと「平和統一」政策への影響を検討するというアプローチで研究を進める。 平成27年度は米中国交正常化交渉における台湾問題について、米国の公文書を中心に、台湾や西側諸国で公開された新史料によって新たに発見できる事柄の整理に着手した。そのうえで、1)米中国交正常化交渉を中心とする中国と西側諸国との交渉、2)当時の中国共産党内の権力関係、3)1973年に再開された対台湾統一戦線工作の展開の三者がどのように連関していたのかに関する分析も行いはじめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度後半は産休と育休を取得することとなり、研究活動を一時中断せざるを得なくなった。また、本研究計画に関しては、研究期間の延長と、それに伴う計画の変更を行った。そのため、本来この年度に予定するはずであった海外での史料調査などは平成28年度以降に延期し、本年度は文献や史料集の情報を整理する程度しか作業を進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長に伴って変更した研究計画に沿って、研究を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
8月に出産し、産休・育休取得などのため、研究を中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は研究期間を延長し、それに伴い新たな研究計画を立てた。育児休暇が終了する8月末より、新たな計画に沿って研究を進めたい。平成28年度は、従来の計画では単年度で行う予定であった、米中国交正常化交渉における台湾問題に関する研究をこの年度の後半から次年度にかけて行いたい。具体的には、米中国交正常化交渉について、米国と台湾を中心とする旧西側諸国で公開された新資料によって新たに発見できる事柄を整理する。さらに、米中国交正常化交渉、中国共産党内の権力関係、1973年にこ再開された対台湾統一戦線工作の3つがどのように連関していたのかについて分析を行う。この年度には、研究を中断する以前の成果を引き継ぎつつ、先行研究のまとめと論点整理、公刊公文書集の情報整理などを行い、次年度以降に行うインタビューや史料調査に向けてアポイントメントをとりはじめる。
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