2015 Fiscal Year Research-status Report
組織コミットメントの多次元性の再検討と測定尺度の開発
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15K17125
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小山 健太 東京経済大学, コミュニケーション学部, 講師 (50645025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 組織コミットメント / 尺度開発 / 組織行動 / 組織心理学 / 進取的行動 / 外国人社員 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織心理学の基本概念の1つである「組織コミットメント」は、当初は構成概念の多次元性に着目する研究が多かった。しかし、Allen & Meyer(1990)により「情動的/功利的/規範的」の3因子による構成概念が確立され、様々な実証研究で「情動的コミットメント」が職務満足などの結果変数に有意に影響力があることが実証されると、以後の研究では、「情動的コミットメント」のみが着目されることが多くなった。 しかし、今後活用が期待されている「多様な正社員」は、長期や長時間勤務を前提としないため、情動的コミットメントが相対的に低いと推察される。また、激しいビジネス環境で組織の競争力を高めるために、日頃の仕事に創造的に取り組む「進取的行動」に影響を与える組織コミットメントの探求が求められている。 そこで、本研究では、組織コミットメントの多次元性を再検討し、測定尺度を開発することを目的としした。平成27年度は、日本企業で働く外国人正社員に対象をしぼり、外国人106名に対してアンケート調査を実施した。 その結果、3つの発見事項があった。(1)組織コミットメントの新しい構成概念として「ミッション共感的コミットメント」の存在が認められた。(2)組織コミットメントの構成概念のうち、ミッション共感的コミットメントのみが、「進取的行動」に影響を与えた。(3)ミッション共感的コミットメントに影響を与える要因は、「ミッションの説明」「外国人視点の期待」であった。 また、次年度以降の課題として、新しい構成概念のさらなる探求と概念の精緻化がある。そのために、インタビュー調査を実施して、仮説および尺度を再検討したうえで、アンケート調査を再度実施する必要がある。これらについては、本研究の2年目および3年目で取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、組織コミットメント新しい概念を発見し、それがどのような影響力をもつかを検討することである。その観点から、初年度において「ミッション共感的コミットメント」という新しい構成概念を発見できたことは評価できると思われる。 一方で、概念の精緻化が必要であり、2年目・3年目において、インタビュー調査および、再度のアンケート調査(統計分析)を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究結果をもとに、インタビュー調査を実施する。インタビュー調査では、日本企業で働く外国人新卒社員とその上司を対象とする。外国人社員本人とその上司の両面から、組織コミットメントの内容、要因、影響力を検討する。そのうえで、仮説モデルを構築する。ここまでの研究結果を、学会で発表することを予定している。 さらに、インタビュー調査による仮説モデルをもとに、尺度を改めて開発し、アンケート調査を実施する。ここまでの研究成果を、学会の査読論文として投稿することを予定している。 以上のことから、今回の3年間の研究においては、概念の精緻化のために、「多様な正社員」のうち「日本企業で働く外国人新卒(若手)社員」に焦点をしぼる予定である。育児休業後の時短勤務正社員や、地域限定正社員、職務限定正社員などを対象として、組織コミットメントの多次元性を検討することは、4年目以降の研究として取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの支出であったが、若干の残金(8803円)が発生した。若手Bは基金化されているため、効果的に科研費を使用するために、2年目以降の資金と合わせて使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目において使用する(図書購入等)。
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