2016 Fiscal Year Research-status Report
アウトブレイクにおける知識の信頼性の経時分析とコミュニティ・レジリエンス評価
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15K17210
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中川 千草 龍谷大学, 農学部, 講師 (00632275)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 知識生産 / レジリエンス / コミュニテイ / エボラ熱 / 科学的知識 / ローカルな知識 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は当初、ギニア国内の特定の地域・コミュニティを対象とした情報収集およびインタビュー調査を実施するために、気候が安定している乾季である12月から3月のあいだに1ヶ月ほどの渡航を予定していた。その際の調査対象地域としては、1)科学的知識のゲート・多様な知識の生産と流通のハブとして位置付けられる首都コナクリ、2)トップダウン型の知識の導入に翻弄された地域としてのBossou地区、3)コミュニティのレジリエンスが比較的高い地域としてのKamsarを想定していた。しかしながら、10月以降、健康上の理由(妊娠)から、今年度中の渡航を断念せざるを得なくなった。そこで、今年度の予定を大幅に変更し、現地アシスタントを介し(メールおよび電話にて連絡をとることにより)、1)コナクリと3)Kamsarにおける間接的な情報収集を実施するに至った。コナクリにおいては質問票をベースに半構造的インタビューを5件行い、これによって、コナクリにおけるa)病と死をめぐるローカルな知識、b)水や大気といった環境と人との関係性(宗教的な実践・衛生観など)についての基礎的情報を得ることができた。また、Kamsarについては、現地の文脈からコミュニティ・レジリエンスのキー概念の析出をおこなうための、エボラ出血熱流行中における生業活動の課題についての情報収集をおこなった。また、日本国内に在住するギニア出身者数名に対し、現地とのコミュニケーションのあり方やネットワーク形成についてインタビューし、現地の情報伝達や意思決定のしくみへの影響について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健康上の理由(妊娠)から、渡航できず現地調査を実施できなかったことと、同様の理由により11月にパリで開催された学会大会「Ebola 3 ans apres : les grandes questions 」における研究成果の発表を見送ったことが、上記のように判断した最大の理由である。しかし、現地アシスタントと連絡を取り合い間接的な現地調査、日本国内に在住するギニア出身者を対象にインタビュー、既存の関連資料の精読によって、情報のアップデートと研究の継続に務めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度実施できなかった特定のコミュニティに対するインタビューの実施になるべく早い時期に取り掛かりたい。ただし、健康上の理由(妊娠)が継続していることと、現地の調査環境(気候の安定)を考慮し、実際に渡航できるのは2018年2月または3月ごろと予想される。それまでは、引き続き、現地アシスタントと連携し、情報収集を積極的におこなう。特に、Kamsar地区におけるa)病と死をめぐるローカルな知識、b)水や大気といった環境と人との関係性(宗教的な実践・衛生観など)、c)情報伝達と意思決定のしくみについての基本的な情報収集を行いたい。また、コナクリにおける科学的な知識の導入プロセスと国際社会における知識生産の分析を行いつつ、すでに発行されている国際支援団体の報告書や諸論文(特に2016年11月8日にパリで開催された学会大会「Ebola 3 ans apres : les grandes questions 」での発表資料)の翻訳と解釈を進め、現地調査に備えることとする。
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Causes of Carryover |
健康上の理由(妊娠)により、現地調査が実施できなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の渡航費用、および現地アシスタントへの謝金、さらに関連資料の翻訳料、物品購入費として使用する。
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