2019 Fiscal Year Annual Research Report
Metachronic analysis of reliability of knowledge and evaluation of community resilience in outbreaks
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15K17210
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中川 千草 龍谷大学, 農学部, 講師 (00632275)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 感染症 / 感染症対策 / エボラ出血熱 / ギニア共和国 / 情報共有 / 知識生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は成果発表に向けた、小規模研究会での発表や執筆準備を重点的に行うことを予定し、研究活動を進めた。本研究の主たる目的である、科学的な根拠に基づく新たな知識と、経験に基づくローカルな知識との出会い、融合、反発のプロセスについてまとめると同時に、本研究を通し、感染症の大流行(アウトブレイクやパンデミック)が起こった際の研究者の立場性についても論じる必要性があるという結論に至った。 この研究者の立場性とは、フィールドワークのあり方そのものを問うものである。2020年2月に渡航した際には、奇しくも世界的にCovid-19が流行し始めた時期と重なった。当時、現地は流行「前」であるにもかかわらず、人びとはメディアを通じて情報を入手し、"Corona"に対して意識が向けられていたことや、手指の消毒やマスク着用など、エボラ流行時の経験が生かされた対策の始まりを確認することができた。また、少人数で非公式の談話会を開き、エボラからコロナという予期しなかった感染症と、マラリアやコレラなどに代表される日常的かつ慢性的にみられる疾患をめぐる知識や手順などについて、意見交換を行うことができた。 こうした現地調査を経て、政治・経済が不安定な社会における感染症の流行対策、および、社会的危機における研究者の立場性という二つの観点からの学術論文の草稿を執筆することができた。 また、本研究を通して、感染症時の食料生産と流通の確保に関する研究の必要性を感じ、次の研究プロジェクトを始動した。
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