2017 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダー・家族政策をめぐる国民意識の通時的分析―日瑞仏の比較研究
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15K17228
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
浅井 亜希 立教大学, 社会情報教育研究センター, 教育研究コーディネーター (40709573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族政策 / ジェンダー / スウェーデン / 少子化対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本、スウェーデン、フランスにおける家族政策がいかに人々の意識を変化させているか、政策の成立や転換による影響を検討することにある。具体的には、1950年代から現在までの、日本、スウェーデン、フランスにおける世論調査を対象としている。平成29年度は、平成27年度に収集した資料の整理と分析、検討を行った。さらに歴史的アプローチから政策の比較研究を進め、学会報告および論文作成を行った。 平成29年6月4日に、日本地方政治学会・日本地域政治学会2017年度東京大会にて、「政策は『少子化』をどう捉えたのか」 という題目で、政府の少子化への危機意識がどのように社会問題へ展開したのか、検討を行った。この報告に基づき、専門誌への論文寄稿を行っている(平成30年に発行予定)。また、『立教法学』98号において、「新自由主義の家族政策は可能か―スウェーデンとの比較から」という題目で、ジェンダー平等に関する人びとの意識変化が家族政策改革へいかに影響を与えているかについて、スウェーデンおよび日本の比較研究をおこなった(立教大学法学部、平成30年3月発行)。 以上の研究実績から導かれることは、以下2点である。第1に、1960年代女性運動(フェミニズム運動)が男女平等のためのジェンダー中立的な政策を推進したにも関わらず、1980年代以降にはそのような家族政策が功をなさなかったと批判されることとなり、結果として家族政策は、対象が明確化された、いわばジェンダー目的化がなされるものへと転換が迫られている。第2に、日本においては、ジェンダー政策が推進された時期が1990年代以降と比較的遅いため、少子化対策の形成時期と重なっている。しかし、ジェンダー政策が少子化対策の軸として、位置づけられていなかったため、スウェーデンのような包括的な家族政策への発展が困難であったことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、平成27年度に収集した資料の分析を優先し、その成果をまとめることに注力したため、平成29年度に予定していた資料調査(スウェーデン、フランス)を取りやめた。よって、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、ジェンダー・家族政策および世論調査に関する資料収集をおこない、資料の整理・分析を進める。 さらに、ジェンダー・家族政策をめぐる世論と福祉国家への支持が、社会運動によってどのように変化しているのかを検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に計画していた海外への資料収集が実施できなかったため、次年度使用額が生じている。 平成30年度は、スウェーデンおよびフランスでの資料調査、およびリトアニアへの学会出張(Espa-Net)を予定している。
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Research Products
(2 results)