2015 Fiscal Year Research-status Report
潜在連合テストを用いた新たな心理的・身体的ストレス測定法の開発
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15K17248
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 広英 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (00598691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 潜在連合テスト / ストレス状態 / リラックス状態 / Switching IAT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,潜在連合テスト(IAT)による潜在的ストレス測定法がポジティブ感情の測定に拡張できるかを検証するため,1つの研究を行った。研究1では,筋弛緩法によるリラクゼーション操作(約10分間)を行う群と行わない群(10分間何もしないでいる)を設定し,操作前(pre)と操作後(post)の計2回,コンピュータ上でSwitching IAT課題を実施した。各コンピュータ課題の後,生理的指標(脈拍・心拍)の測定,質問紙による不安感情の測定を実施した。Switching IATにより自己と安心概念の連合強度を算出し,リラクゼーション操作の効果を検証した結果,生理的指標ではリラクゼーション操作による効果はみられなかった。一方,Switching IAT得点および質問紙による不安感情の測定では,リラクゼーション操作による効果がみられ,リラクゼーション操作前から操作後にかけて,自己と安心概念の連合強度が増加すること,不安感情が減少することが明らかとなった。一方,リラクゼーション操作を行わない条件では,2回の測定の間に差は見られなかった。以上のことから,IATによる潜在的ストレス測定法は,感情価として逆の概念となるリラックス状態の測定にも拡張することが可能であると考えられる。ただし,現時点ではリラクゼーション操作を行わない条件の実験参加者数が不足しており,今後実験参加者を増やすことで本研究の結果をより厳密に検証していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,平成27年度は研究1の完遂を目的としていた。実験参加者がやや不足しているものの,IATによる潜在的ストレス測定法がポジティブ感情の測定に拡張できる可能性を示すことが出来た。したがって,現在までの進捗状況としては,「(2)おおむね順調に進展している」という評価が妥当と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の実験参加者が若干不足していることから,研究1を継続していく。また,もう一つの課題として,IATによる潜在的ストレス測定法の身体的ストレスへの拡張を試みるため,研究2として,身体的ストレスを測定可能なIATの開発を試みる。
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