2016 Fiscal Year Research-status Report
潜在連合テストを用いた新たな心理的・身体的ストレス測定法の開発
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15K17248
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 広英 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (00598691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 潜在連合テスト / ストレス状態 / リラックス状態 / 疲労状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,潜在連合テスト(IAT)による潜在的ストレス測定法がポジティブ感情の測定に拡張できるかを検証する研究1の続きと,疲労状態の測定に拡張できるかを検証する研究2の一部を実施した。研究1では,筋弛緩法によるリラクゼーション操作(10分間)を行う群と行わない群(10分間何もしないでいる)を設定し,操作前(pre)と操作後(post)の2回,コンピュータ上でSwitching IAT課題(佐藤・河原,2012)を実施した。各コンピュータ課題の後,生理的指標(脈拍,心拍)の測定,質問紙による不安感情の測定を行った。分散分析の結果,測定時期(pre-post)の主効果のみが有意であり,両群においてIAT得点(自己概念と不安感情の連合強度)の値の減少,血圧の低下,質問紙における不安感情得点の低下がみられた。また,順位相関分析の結果,IAT得点の変化量と血圧の変化量の間に負の相関がみられ,操作前後において血圧が低下する者ほどIAT得点も減少していることが示された。以上のことから,潜在的ストレス測定法がポジティブ感情の測定に拡張できることが示された。 次に,研究2では,IAT課題において疲労状態を測定するための言語刺激を抽出するため,予備調査を実施した。予備調査では,大学生92名を対象とし,「疲労」「活気」を測定する先行研究から項目を抽出し,それらが「疲労」「活気」概念にどのくらい当てはまると思うか(妥当性),ポジティブかネガティブか(感情価),感情の強さはどの程度か(覚醒度)を尋ねた。その結果,「疲労」「活気」概念を適切に示す単語を抽出することができた。次年度には,抽出された単語を用いて,疲労状態を測定するIATを作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では平成28年度は研究2の完遂を目的としていた。しかし,前年度不足していた実験参加者を追加し,それに伴い追加の分析を行ったため,研究に遅れが生じた。また,予算の都合から研究2の実験計画を再検討する必要があり,その情報収集および実験機材の準備を行う必要があった。疲労状態の操作には実験倫理的問題を含むため,厳密な検討が必要である。以上より年度内に実験実施には至っていないことから,「(3)やや遅れている」という評価が妥当と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,研究2を実施する予定である。平成28年度の予備調査において検討した言語刺激を用い,疲労状態を測定するIAT課題を作成する。そして,疲労状態を実験的に操作し,作成したIATによって疲労状態を測定できるか,潜在的ストレス測定法が身体的ストレス状態の測定まで拡張できるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
研究がやや遅れていることから,当初予定していた研究2の本実験を行うことができなかった。研究2の本実験で使用する予定であった費用が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と平成29年度請求額を合わせて,平成28年度に実施予定であった研究2の本実験の実験参加者への謝金および実験実施担当者のアルバイト雇用の費用,平成29年度に実施予定である研究3の実験参加者への謝金および実験実施担当者のアルバイト雇用,その他実験で使用する消耗品,学会旅費等の費用に使用する。
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Research Products
(2 results)