2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17262
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
堀田 結孝 帝京大学, 文学部, 講師 (90725160)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 協力 / 制度 / 罰 / 互恵性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はシミュレーションを通して,共同体成員の手で非協力者を制裁する個人罰と,中央集権的な制度により非協力者を罰する制度罰のそれぞれが優位になり得るかが相互作用を行う者同士の関係が固定的か否かに依存するかを検証した。結果として,関係が固定的な環境の下では,制度罰の支持者よりも,協力するとともに非協力者を罰する個人罰行使者が優勢になるという本研究の予測と合致する結果を確認した。 理論的な検討に加え,実験研究の準備として社会的ジレンマ実験のパイロット実験も行った。次年度は,個人罰と制度罰の条件下での社会的ジレンマ実験を行う予定にある。 当初の計画では,単純な条件比較で当初の目的を検証する予定であったが,本年度にScientific Reportsに採択されたHorita et al (2017)での知見を元に,個人罰及び制度罰状況のもとで参加者の行動が他者の評判に依存するか否かをより精緻なかたちで調べることを計画している。Horita et a (2017)では,罰のない社会的ジレンマ実験で,参加者の行動の変化が他者の行動履歴と自己利益の増減のいずれに依存しているかを検証した。結果,関係が固定的か否かにかかわらず,自己利益の増減に応じて自身の行動を変える行動パターンが,社会的ジレンマ実験での行動によく当てはまっている可能性が示唆された。これは協力の文脈における行動の基準において,他者の行動の情報よりも自身の行動利益に大きなウェイトが占められていることを示唆しており,今後の研究においても重要な意味を持つ。次年度に行う罰状況における実験でも,Horita et al (2017)で示唆された点を踏まえ,参加者の罰行動が他者の評判と個人の利益の増減いずれに対するウェイトが大きいか,またその傾向が関係の流動性に依存するかに着目して検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度には制度罰と個人罰状況での社会的ジレンマ実験を実施することを計画しており,本年度中に実験資材の購入や実験用プログラムの作成,及びパイロット実験を概ね終えることができた。次年度に計画している実験研究の準備が整っており,概ね予定通りに進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,実験研究を中心的に行う。社会的ジレンマ実験で個人罰及び制度罰状況における,参加者の行動を比較及び行動パターンを推定する目的の実験研究を実施する。
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Causes of Carryover |
国際学会(ICP 2016, IACCP 2016)が日本国内で実施されるなど,出張費の支出が当初の見積もりよりも少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験研究での実験資材の追加購入,参加者及び実験協力者への謝金に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Transient nature of pay-it-forward reciprocity.2016
Author(s)
Horita, Y., Takezawa, M., Kinjo, T., Nakawake, Y., & Masuda, N.
Organizer
The 31st International Congress of Psychology (ICP 2016)
Place of Presentation
Yokohama, Japan
Year and Date
2016-07-24 – 2016-07-29
Int'l Joint Research
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[Presentation] Contagion of cooperation in a donation game played on chain networks.2016
Author(s)
Horita, Y., Takezawa, M., Kinjo, T., Nakawake, Y., & Masuda, N.
Organizer
International School and Conference on Networks Science (NetSci 2016)
Place of Presentation
Seoul, Korea
Year and Date
2016-06-01 – 2016-06-03
Int'l Joint Research