2016 Fiscal Year Research-status Report
台湾における新任期教員の養成・研修に関する実証的研究
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15K17346
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
生嶌 亜樹子 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (50413240)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教師教育 / 教員養成 / 教員研修 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の中心であり日本の制度との比較において大きな特色のある台湾の教育実習・教員採用についての分析に取り組んだ。台湾の教員養成制度では、教職科目の単位を含む大学卒業資格を取得後、半年の教育実習に参加し、教員養成課程修了証明書をもって教員資格検定試験を受験し、教師の資格を取得する。28年度は上記のうち、教育実習および教師資格検定試験に関して以下の現地調査を行った。 1)教員養成課程をもつ国立教員養成大学附属小学校における教育実習の参与観察:半年の教育実習期間中、研究授業を含む授業観察・事後検討会への参加をとおして、台湾の教員養成制度の実施状況に係る資料を収集した。半年間の教育実習期間における実習教師の状況や実習期間中の大学の指導の様相等を明らかにした。 2)教育実習・教師資格検定試験に参加した学生3名に対するインタビュー:実習期間中の実習教師の取り組みや校内での役割や業務の実際、教師資格検定試験へ向けた取り組み状況に対する当事者の意識について聞き取りを行い、台湾の教員養成制度の効果と課題を抽出した。 3)台湾の教育改革・教員養成に係る資料の収集、分析・整理:教員養成に係る行政関係資料、各大学の資料、関係の論文に加え、教育内容に係る資料等を幅広く収集、整理・分析した。現地資料を収集、整理・分析するとともに日本の教員養成改革の動向と比較的に検討を行い、台湾の教師・研究者・行政担当者との意見交換を行った。 4)あわせて、現職教員の研修については27年度同様に開発的な観点から台湾の研究者との協働による取り組みを継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査がおおむね予定通り進捗した点において上記のように評価できる。ただし、年度当初に予定していた台湾での成果発表については、年度後半に研究代表者が研究機関の変更に対応する必要があり機会をもつことが困難であったため、翌年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の10月までに28年度の成果を中心に日本と台湾で学会等での報告の機会をもち、研究成果の集約へ向けた取り組みを進める。現地資料は27・28年度におおむね収集が完了しているため、29年度は補足的に最新の資料を収集・分析して成果のとりまとめを行う予定である。 研究実績の概要4)に記載した教員研修に関して、台湾では、日本語の教員養成に相当する「師資培育」という用語は教師の生涯にわたる職能成長を意味しており、現在進行中の日本の教員養成制度改革がめざす方向性と一致するとともに、教員免許更新講習については、広範な学習の機会でのポイント取得による類似の制度が教師の学びを保証している。本課題の研究を進める過程で日本の教師教育改革の議論が急速に進展し、台湾における若手教師を含む現職教員の研修を中心とした職能成長のあり方から日本の教員養成制度改革に対する有益な示唆を得られる可能性とその必要性があることから、本研究課題の一部として若手教師以外の現職教員研修の内容を扱い、継続課題として研究を実施する準備を進める。
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Causes of Carryover |
物品費については、購入を計画していたパソコンは本研究費以外の公費で購入したものが継続的に使用可能であったため。 旅費については、節減に努めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費配分後、29年度当初にパソコンの購入を予定している。 また、昨年度4回(4月、5月、10月、12月)しか実施しなかった現地での調査の機会を増やし、調査等で5回(4月、5月、7月、8月、9月)、成果報告で3回(10月、12月、1月)台湾に行き、成果の集約を行う。
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