2017 Fiscal Year Research-status Report
算数・数学科授業にみる相互行為の構造に関する研究:発問-応答過程を視点に
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15K17398
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
舟橋 友香 奈良教育大学, 数学教育講座, 准教授 (30707469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 仕組まれた問題解決 / 中学校数学科授業 / 算数科授業 / 連立方程式 / 教授行為 / 解法の議論 / まとめ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の経験豊富な教師による算数・数学科授業における相互行為のパターンを発問-応答過程を視点として特定し、その展開にみる教授行為・学習行為の特質を明らかにすることである。平成29年度は、次の2つのことに取り組んだ。 第一に、「学習者の観点からみた授業研究(LPS)」で収集された「連立方程式」についての一連の数学科授業データを用いて,「仕組まれた問題解決」の様相を解明することを目的とした分析を行った。特に,一連の授業で扱われる連立方程式の構成,及び考察の観点が設定される契機に着目し,学習者の観点を加味した分析を行うことで特徴の顕在化を図った。その結果,数学を創っていく際に重要な気づきをしている生徒の発言に言及することで,それを価値付けるという教授行為の特徴,及び生徒が異なる解法をしていた際に,それらを比較することを通して,生徒に正誤の判断や「より簡潔」という観点からの価値判断を要求するという教授行為が特定された。この行為に対して,生徒インタビューの分析から,異なる考え方に触れる重要性を生徒が認識していること,また異なる解法が提示された際に簡潔性の観点からそれらを価値付けることがなされていることがわかった。 第二に、小学校5年生を対象とした経験豊富な教師による算数科授業にみる「問い」の変容や「まとめ」の位置づけに関する特徴から、問題解決学習の型を再考する視点を得ることを目的とした分析を行った。その結果、「解法の議論」に関する局面において、児童の素朴な考えを生かしながら、本時で新たに学ぶ数学的内容とを関連づけていく問いの連なりが重要であり、教師の問いの役割やその構造についての積極的な議論が必要なこと、授業の終盤だけでなく、授業の中盤で本時のねらいにせまる問いを発する前に、児童がそれまでに議論した内容の要点を整理する「まとめ」も重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、すでに分析可能なデータを用いて中学校数学科授業と小学校算数科授業の双方の分析をすることができた。この面については、研究は順調に進展しているといえる。一方で、それぞれから得られた知見を総合するまでには至っていない。また、研究活動のための時間を十分に確保できず、新規の授業データの収集が出来なかった。そのため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行えなかった新規の授業データの収集・分析を行う。具体的には、奈良教育大学附属中学校に協力を依頼し、中学校数学科における「数と式」領域、「関数」領域に関する授業を新規に収録する。その際、教師および生徒に対するインタビュー調査も同時進行で行い、教授行為の意図や学習者の知見を実証的に明らかにするためのデータを収集し、分析する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に産前産後の休暇及び育児休業の取得し研究を中断したことにより、平成29年度は前年度の未使用額を用いて研究を行った。当初の計画では国際学会に参加して研究成果を発表することを予定していたが、家庭の事情により国際学会へ参加できず、国内の研究会への参加や物品の購入に充てたため、次年度使用額が生じた。次年度は平成29年度に実施できなかった新規授業データの収集を行うため、その交通費やデータ整理のための謝金に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)