2015 Fiscal Year Research-status Report
ドイツの政治教育における雇用・労働問題の教育内容構成の研究
Project/Area Number |
15K17407
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
寺田 佳孝 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (50705960)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 政治教育 / 経済教育 / 教科書分析 / カリキュラム分析 / 労働・雇用問題 / 主体的な学習 / ドイツの教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の活動は、大きく以下4点に集約される。 第1に、関連文献の収集とその内容整理をおこなった。本作業については、ドイツの経済教育関連の著書、あるいはドイツの経済状況、雇用・労働問題を扱った著書を中心に、主に図書館等を活用して収集活動を実施した。収集した著書については、順次内容を検討・整理していった。 第2に、ドイツでの教科書調査を実施した。2016年3月13日~23日にかけて、ドイツ・ブラウンシュヴァイクにあるゲオルク・エッカート国際教科書研究所にて、教科書調査を実施した。第1回目の調査では、ノルトライン・ヴェストファーレン州の政治科に焦点を絞り、ギムナジウムをはじめとする各学校に向けて認可されている現行の政治科教科書およそ70点について調査を実施した。 第3に、教科書の調査結果の整理と分析をおこなった。本作業では、調査した教科書について、認可された学校種および学年ごとに整理したうえで、雇用・労働問題についての叙述の有無、キーワードの有無等を確認し、主な分析対象となる教科書を選択した。その際、上記の作業から明らかにした現在のドイツにおける雇用・労働問題の対象、および論点を参照した。 第4に、研究会での報告をおこなった。2016年3月26日、第53回歴史知研究会(東京都・租税資料館で実施)で「ドイツの経済教育論と労働・雇用問題の学習方法の模索」というタイトルで発表を実施した。発表においては、①ドイツの経済教育論の展開と労働・雇用問題に対する主な論調、②経済教育論の「スタンダード」、③現在ドイツの労働問題と教科書におけるその扱い、を中心に扱い、その後、出席者と質疑応答をおこなった。 以上の活動をまとめると、研究計画書の「研究計画・方法」の欄に記載した、平成27年度の課題はおおむね達成したと思われる。他方で、文献収取、教科書分析、さらなる教科書収集は来年度以降の課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の判断の理由は以下3つである。 第1に、ドイツの経済教育論の分析が遅れている。経済教育論についての著作は非常に数が多い一方で、それらの内容についての学説整理については、日本は言うまでもなく(そもそも日本ではドイツの「経済教育論」を扱った研究が非常に限られている)、ドイツにおいてもそれほど熱心に取り組まれていない。したがって、ドイツの経済教育論に関する文献を入手し、その内容を確認した後、それが経済教育論、あるいは政治教育論の中でどのような位置を占めるのかについても判断したうえで調査を進めなければならなかった。 第2に、教科書分析が遅れている。理由の1つは、教科書調査の実施が3月という、年度の最後にずれ込んでしまったことによる。その結果、分析開始時期が遅くなってしまった。もう1つの理由は、調査対象となる教科書の数が非常に多かったことによる。そもそも日本とは異なる教科書制度のドイツでは、政治科(日本の社会科に該当)に限ってみても非常に多くの教科書が作成され、検定を受けている。分析する教科書の整理・絞り込みのスピードをより速める予定である。 第3に、研究の枠組み上、参照する本が多くならざるを得ないという事情もあった。本研究は、教育学のみならず政治学、経済学、社会情勢分析、システム分析など関連諸分野の研究成果についても参照するものである。すなわち、まずドイツの労働・雇用問題についての文献を参照し、次に、政治教育、経済教育学の文献を確認し、そのうえで政治科の教科書分析を行うため、調査の枠組み作りおよび分析の実施にある程度の時間が必要になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画書に書いた通りに研究を推進していく予定であるが、その際、重視する点として以下3点を挙げておきたい。 第1に、研究推進のスピードを高めるため、予定より学会・研究会での発表回数を増やしていく。すなわち今年度は、日本カリキュラム学会、日本社会科教育学会、および日本グローバル教育学会の3学会にて発表を実施する予定である。 第2に、ドイツでの教科書調査の実施回数を増やし、また実施時期を早める予定である。今年度は、可能であれば10~11月、および3月の2度にわたって教科書調査を実施する予定である。 第3に、上記の発表成果および調査結果を踏まえ、関連学会等に向けた論文作成に取り組み、投稿回数を増やす予定である。
|
Causes of Carryover |
ドイツへの調査出張が年度末(3月)となったため、その関連予算(およそ500000円)を次年度(平成28年度)の予算として計上している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記「理由」を参照。
|
Research Products
(1 results)