2015 Fiscal Year Research-status Report
病弱児・者における唾液バイオマーカーを用いた情動評価の実践応用に関する研究
Project/Area Number |
15K17425
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
深澤 美華恵 福岡教育大学, 教育学部, 助教 (80727008)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病弱児・者 / 重度・重複障害者 / 情動評価 / 唾液バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、病弱児・者を対象とした教育実践や支援介入に際する対象児・者の情動把握において、生理学的指標の活用を検討することである。さらに、生理学的指標の内、実践場面における指標の生態学的妥当性の観点から、唾液内の生体物質である唾液バイオマーカーに着目し、その実践応用を試みるものである。 以上の目的を達成する上で、主に二つの研究を実施することを計画しており、一つ目が重度・重複障害児・者における唾液バイオマーカーの妥当な解釈の検討(研究1)であり、二つ目が病弱教育実践に際する唾液バイオマーカーの活用法の検討(研究2)である。 本年度は、研究実施計画における初年度に当たり、研究1では、療育実践における生理学的指標の測定と活動記録等の質的情報との記録を行い、生理学的指標に観査される変動等と質的情報の関連から、生理学的指標をもとに重度・重複障害者の情動評価を行う上での妥当な解釈の検討を行った。生理学的指標としては唾液アミラーゼ活性値、心拍数といった自律神経系の指標を用いた。その結果、行動からも観察される大きな変化(笑顔や発声)に先駆けて、唾液アミラーゼ活性値の上昇を認める場面がみられ、情動表出が極めて限定される対象においては、行動等における情動表出には至らないレベルでの情動の変化を生理学的指標で把握できる可能性や意義があらためて示唆される結果となった。 研究2については、測定が妥当な唾液バイオマーカーの探索および測定プロトコルの検討、並びに研究協力者の募集を行う計画であった。唾液バイオマーカーとしては慢性的なストレスの指標として、唾液中コルチゾール濃度に着目し、コルチゾール濃度分析のための研究設備を整え、先行研究を中心に標準データ等に関する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1についてはおおむね順調に進行しており、今後も着実にデータを蓄積していくことで、おそらく研究目的を達成することは可能になると推測される。研究2については、年度内に研究実施のための研究設備等を整えることはできたが、研究フィールドを確保することが出来なかった。実際の教育現場をフィールドとして想定する上では、当初予定していたよりも時間をかけた交渉や関係性の構築が必要となるため、今後も他業務との兼ね合いの中で継続して尽力する必要があると考えられる。それと同時に、その他の方策も含めて改めて検討を重ねる予定である。したがって、研究2について若干の遅れが生じていることから、進捗状況はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1については当初の研究実施計画通りに進めていくとともに、研究2に関して、本年度の遅延した部分について重点的に研究2を行うような時間を設定するなどして遅れを補うようにする。
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