2017 Fiscal Year Annual Research Report
A multiwavelength study on interstellar chemistry in low-metallicity environments
Project/Area Number |
15K17612
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下西 隆 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80725599)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / 電波天文学 / 星間化学 / 星間分子 / 氷 / マゼラン雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙空間における星や惑星、そして生命の材料となり得る物質の起源を明らかにするため、本研究は従来の天文学に化学的視点を取り入れ、宇宙空間に存在する分子の天文観測及び関連する理論計算・実験的研究の手法などを駆使してその謎に迫っている。 本年度は、まず電波望遠鏡を用いた低重元素量銀河の星間分子観測データの解析を行い、成果を論文としてまとめた(論文は学術誌に投稿中)。本研究では、大型電波望遠鏡アルマを用いて天の川近傍に位置する銀河「小マゼラン雲内」に存在する原始星の分子輝線観測を行った。結果として、我々の住む天の川銀河と比べて1/5程度の非常に低い重元素量環境を持つ銀河にはじめて大型の星間有機分子 (メタノール)を検出した。本研究により、過去の宇宙と共通する重元素量環境を持つ銀河における有機分子の存在が観測的に示され、宇宙における星・惑星材料物質の化学的多様性の一端が明らかになった。また、本年度は天文学・化学・物理学などの異なる分野の手法を融合させ、星間氷表面上での分子生成に関する理論研究も行った。上述のような星間空間に存在する分子の観測結果を理論的に理解するためには、ダスト(固体微粒子)表面での分子生成を理解することが非常に重要となる。本研究では、星間化学の理論モデル構築において不可欠な星間氷表面上での原始の吸着エネルギーという物性値について、理論化学計算の専門家と協力して計算モデルを構築し、酸素・炭素・窒素の3つの原子種についてその値を導出することに成功した。また、新たに計算された物性値が、実際の分子雲の化学進化に与える影響を星間化学シミュレーションにより調査した。本研究により、宇宙空間における分子の生成メカニズム解明する上での重要な基礎データが提供された。成果は本年度既に論文として出版されている。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Processing of Interstellar Medium as Divulged by Akari2017
Author(s)
Onaka, Takashi; Mori, Tamami I.; Ohsawa, Ryou; Sakon, Itsuki; Bell, Aaron C.; Hammonds, Mark; Shimonishi, Takashi; Ishihara, Daisuke; Kaneda, Hidehiro; Okada, Yoko; Tanaka, Masahiro
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Journal Title
Publications of The Korean Astronomical Society
Volume: 32
Pages: 77-81
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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