2016 Fiscal Year Research-status Report
発熱型反応を用いた三中性子共鳴状態探索による新しい三体力効果の研究
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15K17655
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
前田 幸重 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50452743)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三体力 / 中性子 / 原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核研究の基本となる核力には二核子間力以外に三体力と呼ばれる多体相互作用が存在する。特に、核力の三体力のうちアイソスピンT=3/2成分の効果は、不安定核における新しい魔法数の出現や、中性子星の状態方程式を記述する上で必要不可欠であることがわかってきた。本研究の目的は、この新しい三体力の効果を実験的に明らかにすることである。 本研究の最終的な目標は不安定核軽核ビームを用いた荷電交換反応を用いて三体力効果を検証することであるが、昨年度の議論から、放射性同位体である三重水素標的の開発・制作は施設安全管理の観点から本研究計画年度範囲内で行うことは困難であると判断し、重水素標的の制作を行うことにした。本年度は不安定核ビーム実験用の大サイズ・厚膜の重水素化ポリエチレン(CD2)標的の製作開発を行い、1mm厚の標的の作成に成功した。 長寿命核分裂生成物(LLFP)核ビームの核変換実験にこのCD2標的を使用し、荷電交換反応のデータ解析を行い、この結果を卒業論文及び修士論文として纏めた。 また、アイソスピンT=3/2三体力の研究と密接に関わりのある、テトラ中性子(4n)探索実験に参加し、テトラ中性子の終状態と三中性子共鳴状態探索との関連について、理論・実験双方の研究者と議論を行った。三核子系で核力のアイソスピンT=3/2成分を研究する際には、三中性子(3n)状態と三陽子(3p)状態が研究対象として存在するにも関わらず、クーロン斥力の影響から3p状態の理論的研究が進んでいなかったが、これまでの3n及び4n状態探索実験の進捗を踏まえ、3p状態に関する議論を進めた。 また、昨年大阪大学において行った(p,d)反応実験の解析も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験を遂行するためのビームタイムの獲得に至っていないので、研究計画はやや遅れている。 一方で、理化学研究所で実施する最終実験に向けて、使用予定のビームライン検出器等の開発を、共同実験者との協力のもとで順調に進めている。また、最近追加実験が行われたテトラ中性子系の実験結果を元に、理論・実験双方からの議論を進めており、今後の研究における共同研究体制は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究計画検討の結果から重水素標的を用いて中性子を大立体角中性子検出器NEBULA+NeuLANDで測定する実験を行うことに計画変更した。しかし、平成29年度夏以降はNeuLANDは使用できないことになったので、さらなる研究計画変更が必要となった。NEBULA単独で本実験を遂行できるように検出器のシミュレーションを行って、平成29年度秋以降に本実験を行う。結果を速やかに解析し、国際会議で発表し、理論研究者と議論を進めて論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
本実験のビームタイムを獲得できなかったので、本実験用に作成する重水素標的に必要な物品購入を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度ビームタイムを獲得次第、検出器及び標的の制作のための物品購入に充当する。
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[Presentation] 不安定核132Sn の逆運動学陽子弾性散乱測定2017
Author(s)
銭廣十三, 上坂友洋, 寺嶋知, 松田洋平, 坂口治隆, 津村美保, 村上哲也, 大田晋輔, 道正新一郎, 堂園昌伯, 高木基伸, 坂口聡志, 前田幸重, 原田知也, 那須裕, 岡本潤, 谷上幸星, YANG Zaihong, CHEBOTARYOV Sergey, MILMAN Evgeniy V., KRASZNAHORKAY Attila, Leblond SylvainI, Lokotko TarasI, et al
Organizer
日本物理学会2017年年次大会
Place of Presentation
大阪大学
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20