2017 Fiscal Year Annual Research Report
Atmospheric Hg deposition recorded in the Japanese lacustrine environments
Project/Area Number |
15K17764
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
武内 章記 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10469744)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水銀 / 陸水 / 大気由来 / 沈着 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、水銀は地球環境汚染物質として対策と研究が進められている。特に東アジア地域は大気への人為水銀の排出量が著しく多い地域と知られており、排出された水銀が偏西風によって日本に運ばれて、表層に沈着する事が知られている。表層に沈着した水銀は水環境内でメチル水銀に形態変化をすることが知られているのと同時に、大気由来のメチル水銀の存在も知られており、大気由来の水銀と湖水中のメチル水銀の挙動・動態との関連を明らかにする必要がある。当研究課題の最終年度に置いては、閉塞湖の本栖湖とその周辺湖沼の水中メチル水銀濃度の季節的な鉛直分布変動を明らかにするために、本研究課題実施中に確立したクリーン採水技術と汚染が発生しない前処理方法を用いてサンプリングおよび分析を実施した。本栖湖の水中メチル水銀濃度は年間を通じてほぼ定量下限値以下(MDL: 0.002 - 0.003 ng/L)で推移しており、総水銀濃度と比較して、季節的な鉛直分布は無かった。その一方、周辺の富栄養湖では、夏場の底層水にのみおよそ0.03 - 0.08 ng/Lのメチル水銀が検出された。メチル水銀は底質中に生息する嫌気性細菌によって生成されることが知られているが、表層でのメチル水銀濃度がほぼ定量下限値以下で推移していたことを考慮すると、大気由来メチル水銀の影響は皆無であると考えられる。また表層においては有機物に吸着したメチル水銀が光化学反応の影響で大気に戻ることも知られているが、国内で湿性沈着中のメチル水銀濃度の季節変動を調べた研究では、冬から春にかけて濃度が高くなることが示唆されており、本研究で検出された夏場の水中メチル水銀濃度と関連があるとは考えにくい。
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