2018 Fiscal Year Annual Research Report
Future of elements lost by planet formation and evolution: An approach from high pressure and high temperature experiments
Project/Area Number |
15K17785
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜根 大輔 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (20579073)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ミッシングゼノン / 高圧 / マントル / クラスレート |
Outline of Annual Research Achievements |
地球や火星の大気や全岩組成は始源的隕石の組成とおおむね調和的であるが、惑星形成から現在に至るまでに選択的に欠損し所在不明となった元素もいくつか存在する。その行方不明の元素のうち、現在の大気中のキセノン(Xenon)は始源的隕石から想定される値を大幅に下回っており、以前から「Missing Xenon問題」として注目されてきた。本研究はこのMissing Xenon問題についてその解明に寄与することを目的とした。研究の開始期はキセノンと惑星深部に存在する代表的な鉱物との反応性を高圧高温条件下で模索した。鉱物試料についてはマントル物質であるオリビンや輝石を対象物質に選択し、化学組成についてもマグネシウムの端成分から、天然に存在するものに近似する化学組成の試料を用いて実験を行った。また鉄、ニッケル、レニウムなどの金属についても試料として用いた。実験条件の内、圧力については最大で70万気圧程度まで検討し、上部から下部マントル条件を想定した。温度に関しては最大で3000℃程度を発生させた。このようにして実験を行い、本研究で検討した範囲において、キセノンと鉱物(金属)との反応による化合物、および鉱物との固溶体(合金)は合成されないことが明らかとなった。また、近年に天然において複数のシリカクラスレートが海洋底に広く分布することが明らかとなり、それらはプレートテクトニクスによって深部へもたらされる可能性があることから、高圧高温下においてキセノンの反応性やガス交換の可能性も模索した。シリカクラスレートの基礎物性データの取得も同時に行われ、結果として二種類のシリカクラスレートについて、体積弾性率や相転移シーケンスを明らかにすることができた。キセノンとの反応性についても検討を行い、10万気圧までの条件において化学反応はなく、またガス交換も生じないことが明らかとなった。
|