2015 Fiscal Year Research-status Report
動的な8の字型らせん性とこれを単位構造とする縮環型オリゴマー
Project/Area Number |
15K17818
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上遠野 亮 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60432142)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動的キラリティ / 縮環型オリゴマー |
Outline of Annual Research Achievements |
互いに鏡像の関係にある8の字型の二つの配座間を動的に相互変換できる分子群を系統的に設計・合成した。8の字型キラリティは、環状分子に同旋的なねじれを与えることにより創出し、分子内または分子間でのキラリティ伝達を通して、この8の字型らせん優先性を制御した。特に、一部の系では、二方向分子内キラリティ伝達に成功し、錯形成を引き金としたらせん優先性の反転現象を定量的に観測することに成功した。 さらに、この知見に基づき、動的な8の字型キラリティを有する環状分子を単位構造とする縮環型オリゴマーを独自に提案した。明確な分子構造をもとに、構造とキロプティカル特性との間の相関を系統的に調査することを目的としており、初めに、5種の縮環二量体をそれぞれ同一分子量の異性体として設計・合成した。現在、一連の二量体について、分子構造を結晶構造解析、力場計算、および溶液中におけるNMR解析によって考察している。また、キラルな分子との錯形成状態においていずれの二量体も二重にヘリカルな構造を優先することを予備的に見出している。 これと並行して、特定の異性体について、オリゴマーの伸長方法を先行して検討し、六量体までそれぞれ合成経路を確立した。 以上とは別の8の字型キラリティを有する環状分子も設計しており、このものを単位構造として同一平面内に連続して三回配置した分子プロペラに関する検討も開始した。既に合成を完了しており、キラルな分子との錯形成に際し、動的なプロペラキラリティの一方のねじれ方向を優先すること、加えて、正の協同性が発現しうることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一連の8の字型環状分子の性質を先行して十分に調査しているので、その二量体の取り扱いについては、比較的予想通り問題なく進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在検討中である6種の縮環型二量体の調査を通して、分子構造とキロプティカル特性の間の関連を定量的に評価する方法論を模索する。 また、明確な分子構造を繰り返す場合、その分子サイズもまた特性とどのように関連するのか興味の対象である。
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