2015 Fiscal Year Research-status Report
新規アミン結合型超原子価ヨウ素を用いた直截的炭素ー窒素結合形成反応
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15K17819
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森山 克彦 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00509044)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミノ化 / インドール / 超原子価化合物 / ハロゲン化 / ヨウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新規アミン結合型超原子価ヨウ素を用いた直截的炭素-窒素結合形成反応の開発を検討した。我々は、新規アミン結合型超原子価ヨウ素化合物であるインドリル(フェニル)ヨードニウムイミドの合成し成功しており、この化合物を用いた直截的炭素-窒素結合形成反応を精査した。その結果、インドリル(フェニル)ヨードニウムイミド化合物に求電子剤である1,3-ジブロモ-5,5-ジブロモヒダントイン (DBH) を作用させると、イミド基の1,3-転位を伴うブロモアミノ化反応が進行し、インドール骨格にアミノ基と臭素原子が同時に置換した2-アミノ-3ブロモインドール誘導体が高収率および位置選択的に得られた。また、この知見を活かして、インドール誘導体から(ジアセトキ)ヨードベンゼン、ビススルホンイミド、及びDBHを作用させることにより、直截的に目的の2-アミノ-3ブロモインドール誘導体を高収率および位置選択的に得ることができた。さらに、この生成物から生物活性が期待できる三環性インドール誘導体やスピロイミノインドリン誘導体の合成に成功した。 一方、新規アミン結合型超原子価ヨウ素化合物合成の普遍性を示すために、インドリル(アリール)ヨードニウムイミドの合成を行ったところ、様々なアリール基を有するインドリル(アリール)ヨードニウムイミドを効率的に合成する事ができた。そして、インドリル(2-n-ブトキシフェニル)ヨードニウムイミドからヨウ化銅を触媒とする炭素―窒素結合形成反応が円滑に進行し、目的の3-アミノインドール誘導体が高収率で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、前年度までの成果により、本研究を順調に進展させることができた。具体的には、インドリル(アリール)ヨードニウムイミド化合物と1,3-ジブロモ-5,5-ジブロモヒダントイン (DBH) を作用させると、位置選択的ブロモアミノ化反応が進行し、2-アミノ-3ブロモインドール誘導体が高収率および位置選択的に得られた。この結果は、新規アミン結合型超原子価ヨウ素を用いた直截的炭素-窒素結合形成反応を展開するにあたり、重要な結果であると言える。本結果は、トップレベルの学術論文に掲載された (Chemical Communications 2015, 51, 2273-2276)。また、その他の直截的炭素-窒素結合形成反応もいくつか興味深い知見を得ることができた。これらの結果は投稿準備中である。今後、超原子価ヨウ素の触媒化や不斉反応に展開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策については、交付申請書に従い、現在進行中の直截的炭素-窒素結合形成反応や平成27年度の研究計画に記載したアミン結合型超原子価ヨウ素化合物を用いた複素環化合物の直截的sp3炭素アミノ化反応を引き続き検討し、本反応を鍵とする生物活性化合物の効率的合成に挑戦する。また、平成28年度の研究計画である光学活性アミン複合型超原子価ヨウ素化合物の創製研究及びこれらを用いる直截的不斉アミノ化反応を遂行する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は予定より順調に成果が得られたことにより、国際学会・国内学会に参加したものの、試薬やガラス器具などの消耗品を節約することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度もまた、継続してアミン結合型超原子価ヨウ素化合物を用いた直截的炭素-窒素結合形成反応を遂行する予定であるが、新規アミン結合型超原子価ヨウ素化合物創製に必要な有機合成試薬を多種多量に必要とするため、当該助成金を次年度分として利用していく必要がある。また、研究に必要な実験・設備・分析機器はできる限り既存のものを利用して、研究経費の大部分を消耗品として使用する。本研究の円滑な実験遂行には、多種の消耗品(有機・無機試薬、ガラス器具類、シリカゲル等)が必要である。さらに、触媒及び基質合成や不斉反応の条件を検討するためのホットプレートスターラーやLCキラルカラムが必要不可欠である。
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