2015 Fiscal Year Research-status Report
共存できない3つのイオン液体固有物性間の可逆変化を利用したバイオリファイナリー
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15K17867
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒田 浩介 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (10748891)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イオン液体 / 動的共有結合 / 疎水性 / スイッチング / 可逆変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
カチオンにアミン、アニオンにアルデヒドを含むイオン液体を新規に合成した。合成は1H NMR、13C NMR、元素分析によって確認を行った。熱分解点を調べたところ、二段階の熱分解を示し、一段階目は142℃、二段階目275℃であった。 このイオン液体に水を添加した後、CO2/N2ガスを吹き込み、定量13C NMR測定によって構造を確認した(アルデヒドのシグナル:195 ppm、イミンのシグナル:163 ppm)。その結果、CO2ガスを吹き込んだ場合にはイオン液体型が支配的に、N2ガスを吹き込んだ場合にはアルデヒドとアミンがイミンを形成することでzwitterion型が支配的になっていることがわかった。イオン液体型とzwitterion型の割合は、イオン液体の濃度および溶液の温度にも依存することが分かった。 CO2およびN2を吹き込んだときの、イオン液体水溶液の相変化を確認した。CO2を吹き込んだ場合には温度にかかわらず均一相だった。その一方で、N2を吹き込んだ場合には常温から42℃までは均一相、42℃から90℃までは2相、90℃以上で均一相へと再び戻った。このことから、CO2/N2を吹き込むことでイオン液体の構造を変化させ、イオン液体の親水性⇔疎水性をスイッチングさせることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的としていた、2つの物性間でのスイッチングについて成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進行する予定である。 作製したイオン液体について、酵素への影響などを検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に必要な器具、試薬は全て揃ったので、無理に使用せずに平成28年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イオン液体を合成するための器具、試薬代として使用する。
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