2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analytical method for the evaluation of absorbed dyes on energy conversion interface of dye-sensitized solar cells via time-resolved spectroscopic method
Project/Area Number |
15K17879
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 彰太 東邦大学, 理学部, 講師 (10612658)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 光電変換効率 / 界面 / ダイナミクス / 時間分解分光測定 / ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は色素の吸着状態の評価にラマン散乱分光測定を用い、色素の官能基に由来する分子振動を測定することを目指し色素増感太陽電池に適した分光測定のセットアップを構築した。またシグナルを高い強度で得られるように、金属ナノ粒子に特有な表面増強効果を利用した。表面増強効果は光の波長に依存し、増強度の高い状態を得るためには、適した光の波長と対応するナノ粒子の構造を創らなければならない。今回の目的に合った光の波長として600 - 700 nmを用いる必要があったため、この光の波長において表面増強効果を発現できる金の三角形ナノプレート(大きさ:50 - 100 nm)を創り、色素増感太陽電池の表面上に坦持した。得られた金ナノ粒子の坦持された色素増感太陽電池を用いてラマン散乱分光測定を行ったところ、色素の官能基に由来すると考えられる強いラマン散乱信号を得ることに成功した。今後得られた信号を詳細に解析することによって、色素の配向方向を決定する方法を構築する予定である。 研究期間全体を通じて、時間分解分光測定やラマン散乱分光測定手法により、色素増感太陽電池の光電変換界面における色素の吸着状態と、太陽電池の性能に与える影響について、非破壊に評価できる手法を確立することができた。特に、時間分解分光測定を利用した色素増感太陽電池の光電変換時の電荷のダイナミクスを観察により、性能低下の原因の一つとなる逆電子移動に関係する電解液中のイオンの動きが吸着色素の官能基構造により異なることを見いだした。また色素を吸着させる坦持体である酸化チタン内で起こる電荷のダイナミクスの解明にも成功した。これらの成果により、色素増感太陽電池が実際に動作している状態における、光電変換界面を構成する酸化チタン・色素・電解液のそれぞれの評価が行え、光電変換効率向上の為の材料設計指針に利用できる情報取得方法を確立することができた。
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