2015 Fiscal Year Research-status Report
磁気浮上人工心臓の非ニュートン流体中インペラダイナミクスの解明と多機能化への応用
Project/Area Number |
15K17959
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 亘 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30618947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁気浮上血液ポンプ / センサレス / 血液粘度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,インペラ磁気浮上システムを用いたセンサレス血液粘度計測,高精度流量推定,血液凝固検知機能を有する,多機能化人工心臓の実現を目的としている.平成27年度は,提案するセンサレス粘度計測法を用いて,豚血液の粘度をリアルタイムで計測し,その精度を評価した.具体的には,磁気浮上用電磁石を用い,インペラを周波数60Hz,振幅50ミクロン程度で加振し,その時のインペラ変位と電磁石電流の位相差から粘度を推定した. 血液はずり速度に応じて見かけの粘度が変化する非ニュートン流体であるため,参照用粘度計も広範囲にずり速度を変更する必要がある.本研究で用いる血液ポンプの場合,最高でずり速度30,000s^-1程度まで評価する必要があるが,市販の粘度計では再現できないため,新たに参照用の共軸二重円筒型粘度計も設計・試作した. 本ポンプでは,5L/min, 100mmHgの条件の場合,血液吐出のためのインペラ回転によるずり速度は22,000s^-1,血液粘度計測のための加振によるずり速度は100^-1程度である.提案する粘度計測手法では,どちらのずり速度が血液に支配的に作用するか不明確である.そこで研究の第一段階として,試作共軸二重円筒型粘度計で低ずり速度状態(< 200^-1)と高ずり速度状態(>20,000s^-1)を再現し,それぞれで血液粘度を計測し,血液ポンプの推定粘度値と比較した.その結果,22,000s^-1時に試作粘度計で計測した血液粘度が2.5mPasであったのに対し,センサレス粘度計測値は2.8mPasとなり,両者はよく一致した.本結果より,提案する粘度計測法ではインペラ回転によるずり速度が支配的に作用していることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,平成27年度に豚血液を用いたセンサレス粘度計測を実施する予定であり,この目的を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
血液粘度推定について,より試行回数を増やすことで詳細な精度評価を行うと共に,血液を用いたセンサレス流量推定,および血液凝固検出に応用する予定である.
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Causes of Carryover |
ポンプや評価用粘度計の試作に試行錯誤を伴う見込みであったが,試作装置が上手く機能したため,試作費を削減することができた.また,計器類の一部は他教員の不使用となったものを譲渡してもらい,支出が軽減した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後実施予定の流量推定や血液凝固検出実験にて,より評価精度を向上するため,今回生じた次年度使用額によって,よりスペックの高い計器を購入し,研究の完成度を高める予定である.
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Research Products
(4 results)