2016 Fiscal Year Research-status Report
オーステナイト系金属材料の異材溶接における凝固組織制御と継手特性向上
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15K18223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
門井 浩太 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (40454029)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 溶接・接合 / 高温割れ / 凝固割れ / 異材溶接 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,前年度に引き続きトランスバレストレイン試験による種々の化学組成における溶接凝固割れ感受性評価を行った.また,熱力学平衡計算によって凝固割れ感受性を拡大する各種元素の傾向を検討し,SiやNb,Tiは,凝固温度領域を拡大し,MnやMoは凝固温度領域に対する影響は小さいことがわかった.FeやCr,Niの含有量(シェフラー組織図中の分布)でのSiやNb等の凝固温度領域拡大に対する影響は,これらの元素の種類や組合せに依存することがわかった.加えて,この計算手法は,実験で得られた凝固割れ感受性の傾向と一致したことから,実溶接施工での材料や溶接条件の選択において有であると考えられる.. また,それぞれの化学組成における組織形態を定量的に評価し,デンドライトの生成形態と凝固割れ感受性の関係を検討した.その結果,デンドライト2次枝の発達が顕著なほど凝固割れ感受性が高いことが明らかとなった.これは,化学成分,特に凝固割れ感受性を増大する元素は,オーステナイト相に対する分配係数が小さいことから,デンドライト2次枝の発展に寄与すると考えられ,合金元素の種類や量,組合せによって液相の残留形態も変化することも凝固割れ感受性に影響を及ぼすことが示唆された. これらの得られた知見を基に溶接中の凝固過程における液相の残存形態を検討,予測するため,Multi Phase-Field法による凝固過程の数値解析に取り組んでおり,現在は,冷却速度などの実験から得られた条件を基に,凝固組織形態と解析計算結果との比較・検証により,モビリティ等の計算パラメータの適正値等の検討を進めている.今後は,計算パラメータの適正値を導出した後に,様々な組成に対応可能な解析モデルを検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,前年度からの検討によって凝固割れ感受性に関する実験による検討や,組織観察等による凝固・組織形成特性に関する調査が完了した.加えて,凝固現象,特に凝固割れ感受性に影響を及ぼす,液相の残留形態に関する数値解析による検討も進めている.また,耐食性評価のための予備的試験も開始していることから,当初の予定を概ね達成できていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平生29年度は,最終年度となるためMulti Phase-Field法による凝固現象の数値解析モデルを構築,高精度化を行っていく.また,溶接金属部の耐食性,特にオーステナイト系金属の溶接部で問題となる応力腐食割れや孔食割れに対する耐食性試験を実施し,化学組成や母相組織形態,第二相生成とこれらの耐食性との関係について,実験的に調査する.これらを踏まえて凝固割れ発生防止や溶接継手特性に有効な凝固現象・組織形態となる化学組成や凝固条件を理論的に検討していく予定である.
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Research Products
(2 results)