2015 Fiscal Year Research-status Report
双曲型ナビエ・ストークス方程式に基づいた高レイノルズ数遷音速流解析の革新的高速化
Project/Area Number |
15K18286
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
橋本 敦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究員 (30462899)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CFD / 数値流体力学 / 圧縮性流体力学 / 収束加速 / 非構造格子 / 双曲型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、双曲型ナビエ・ストークス方程式に基づいた解析手法を、航空機の数値流体解析(CFD: Computational Fluid Dynamics)に適用する研究である。従来のCFDの常識を覆すような、精度と速度が期待されているが、1次元、2次元における検証にとどまっており、実用的な検証がされていない。研究代表者がこれまで開発してきたFaSTARに本手法を導入し、高い精度を維持しつつ、高速に計算できることを実証する計画となっている。 今年度は、1次元、2次元の移流拡散方程式に対して、双曲型で定式化し、Method of Manufactured Solutions (MMS)を用いて検証解析を行った。収束性、精度、レイノルズ数依存性などを調査し、この手法が有効であることを確認した。その次に、1次元、2次元、3次元の双曲型Navier-Stokes方程式に取り組んだ。この方程式を解くためには、流束のヤコビアン行列とその固有値、固有ベクトルを導出する必要がある。1次元、2次元に対しては、既報のものと一致するものが得られた。しかし、3次元に対しては、報告例がなく、式が煩雑なため、現在も導出中である。 一方で、今後実施する検証解析を見据えて、AIAA主催のSciTech2016で企画されたEvaluation of RANS Solvers on Benchmark Aerodynamic Flowsのセッションで発表した。FaSTARで乱流の基礎的なベンチマーク問題を解き、世界の代表的なCFDコードと同じ結果が得られた。双曲型コードのベースとなるFaSTARの妥当性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1次元、2次元の問題に対しては、予定通り実施することができた。しかし、3次元に関しては、流束のヤコビアン行列とその固有値、固有ベクトルの導出が煩雑で、計画よりも遅れている。 一方で、双曲型コードのベースとなるFaSTARの完成度は高く、乱流の基礎的なベンチマーク問題を解いて、世界の代表的なCFDコードと同じ結果が得られている。 総合的に考え、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1月に米国で開催された国際学会SciTech2016で、世界で初めて、双曲型ナビエ・ストークス方程式を用いた3次元計算が発表された。その論文には、当初予定していた式とは若干異なるが、流束のヤコビアン行列とその固有値、固有ベクトルが詳細に掲載されている。28年度は、この定式化も含めて検討する。3次元の非粘性流束、粘性流束の風上差分式を導出し、ヤコビアン行列を導出してGauss-Seidelを用いた陰解法を構築する。基礎的な流平板境界層、NACA0012翼の層流計算などで検証する。従来手法に比べて収束性が向上することを実証する予定である。 また、ある程度、結果がまとまった段階で、学会発表や研究協力者との打ち合わせを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度以降の研究費に充てるため、ワークステーションのスペックを当初予定よりも、安いものに変更した。また、研究の遅れから、海外の研究者との打ち合わせを、来年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の、海外の研究者との打ち合わせや、国際学会の旅費に使用する。
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