2015 Fiscal Year Research-status Report
プロペラ後流中における省エネ舵の流体力学的性能に関する研究
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15K18294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金丸 崇 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90612127)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高推力舵 / プロペラ-舵干渉 / 舵抗力 / SQCM |
Outline of Annual Research Achievements |
1 プロペラ-高推力舵の流体力学的干渉シミュレーション法の開発 本研究で考案する高推力舵の効果を調べるため、プロペラと舵の両方に九州大学で開発されたパネル法SQCMを適用した、プロペラ-舵干渉シミュレーションツールを開発した。プロペラボスキャップ後端から放出されるハブ渦を流入させる分断部の形状と舵抗力の関係について開発したシミュレーションツールを用いて調査した。高推力舵の舵抗力は分断部が深い(長い)ほど舵抗力が小さくなる結果となり、また、分断部の幅については狭すぎても広すぎても舵効力が増し、適切な最適値が存在することが分かった。 一方で、高推力舵の設計の初期検討段階での適用を目的とした実用的プロペラ-舵干渉シミュレーションツールの開発にも取り組んだ。この計算では、プロペラに無限翼数プロペラ理論に基づく簡易プロペラ理論を適用し、舵のみSQCMを適用した。ただし、従来の簡易プロペラ理論では推定精度が不十分であるため、プロペラ翼の荷重分布、及びプロペラ後流場を正しく表現するための修正法を開発した。また、検証も行い、干渉流体力について妥当な結果が得られることを確認した。この簡易プロペラ理論を用いたプロペラ-舵干渉流体力の計算は日本船舶海洋工学会秋季講演会にて発表した。 2 模型実験用高推力舵、及びプロペラの試設計 1で開発したシミュレーションツールを用い、平成28年度実施予定の水槽模型試験に使用する高推力舵、プロペラの試設計を実施した。舵、プロペラ共に基本形状は公表文献を参考とし、既に通常舵についての実験データが豊富にあるものをベースとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度計画については目的を達成し、本研究で考案する高推力舵の効果がシミュレーションレベルで確認できた。また、平成28年度実施予定の水槽模型試験の計測項目の一つとして、PIV(Particle Image Velocimetry)による流場計測が含まれているが、平成27年度は当研究室におるPIV計測技術が飛躍的に向上し、高精度な計測が期待できるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は計画通り、高推力舵の水槽模型試験を実施する。早い段階で、高推力舵模型、およびプロペラ模型の製作(発注)に着手する。舵模型の製作個数については予算との兼ね合いで決定するが、計画より少ない場合は、高推力舵の効果を確認するための有効な実験が行えるよう、模型舵形状について見直しを行う。 また、プロペラ-舵の干渉流体力計測において、自由表面の影響が加わることが問題となっている。この自由表面影響対策(プロペラオープンボートの造波防止対策)についても重要な課題として取り組む。 一方、シミュレーションツールについても引き続き精度向上のための改良に取り組む。水槽模型試験結果は改良のための有効なデータとなる。
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Causes of Carryover |
当該年度はシミュレーション中心の研究であり、計算機等、所要の物品については購入した。一方、次年度は水槽模型試験中心の研究となり、費用がかかるため当該年度の残金は繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
水槽模型試験に用いる、模型舵、模型プロペラを購入する。また、水槽試験補助のための人件費、研究成果発表のための旅費としても使用する計画である。
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Research Products
(4 results)