2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of reprogrammed metabolism by PGAM in cancer stem cell model
Project/Area Number |
15K18404
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河野 晋 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助教 (30625463)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RB / グルコース代謝 / PGAM |
Outline of Annual Research Achievements |
がん遺伝子やがん抑制遺伝子の変異、欠損により様々な代謝酵素が誘導され、がんの増殖や悪性化に寄与していることが明らかになってきている。我々は、がん悪性進展過程において、がん抑制遺伝子RBの不活性化が高頻度に観察されることに着目し、RB追加欠損モデルの解析を行ってきた。これまでに、p53とRBの二重不活性化により、マウス甲状腺C細胞は高度な未分化性を獲得することや、p53が欠損したがん細胞では、RBの追加欠損により、がん幹細胞様の集団が出現することを見出している。本研究では、このがん幹細胞様集団の代謝動態を解析し、がん幹細胞の機能維持に果たす代謝の役割を明らかにすることである。 本研究では、p53欠損マウス由来の肉腫細胞のRb追加欠損モデルを樹立し、がん幹細胞集団を濃縮することで、その代謝動態を解析した。結果、がん幹細胞集団では、解糖系およびグルタミン代謝に特徴的な変化が認められ、低酸素条件下と類似した代謝動態をもつことが安定同位体を用いた解析により明らかになった。また、この代謝的特徴は、Pgam2の発現低下により惹起され、Pgam2の再構成によりスフェア形成や腫瘍形成が抑制されることを見出した。次に、本研究で用いた肉腫細胞は、平滑筋由来であることに着目し、Pgam2の発現調節メカニズムの解明を試みた。その結果、RBは分化調節因子Mef2と協調してPgam2発現を調節し、Pgam2の発現誘導が筋分化に必要であることが明らかになった。これらの結果から、RB不活性化に伴うPgam2発現低下は、代謝リモデリングを引き起こし、がん幹細胞集団の高度未分化性の獲得維持に重要であることが示唆された。
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