2015 Fiscal Year Research-status Report
呼吸鎖末端酸化酵素シトクロム bd の基質複合体構造解析
Project/Area Number |
15K18488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲庭 哲津子 大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(RPD) (80569070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 呼吸鎖電子伝達系 / シトクロム末端酸化酵素 / 構造生物学 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、呼吸鎖電子伝達系の主要な膜蛋白質群の中で唯一結晶構造が明らかにされていない膜蛋白質複合体シトクロムbd(Cytbd)の新規な構造を決定し、低酸素条件下という特異的な環境で働くCytbd の電子伝達機構を原子レベルで解明することを目的とする。すでに、Cytbd 複合体の結晶を得ており、6オングストローム分解能の回折強度データを収集しているが、詳細な反応メカニズムの解明には、基質結合部位のより高分解能での構造決定が必須である。そこで、本研究では、基質との高品質共結晶の作製と得られた高品質結晶の損傷を抑えた回折強度測定に向けた解決策を実施し、Cytbd 基質複合体の立体構造を3オングストローム分解能以上の高分解能で解明することを目的としている。本年度、我々は基質複合体の高分解能結晶を作製するために、まず現結晶のさらなる高分解能化として、8 種類の界面活性剤を選抜し結晶化スクリーニングの末、2 種類の界面活性剤で回折測定に用いるサイズの結晶最適化に成功した。また Cytbd 複合体のさらなる均一化を目的とした基質複合体結晶の作製を実施したところ、現結晶と異なる結晶化条件で結晶を得た。これら得られた結晶は SPring-8 の生体超分子専用ビームライン BL44XU において回折測定を実施し、最高回折分解能 6 オングストロームと現結晶と同程度の反射であった。今後は、基質複合体結晶の高分解能化に向けて、さらなる結晶最適化を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シトクロム bd (Cytbd) 基質複合体の高分解能化に向けて、本年度は以下の 3 項目を実施した。まずは、(1) 界面活性剤のスクリーニングを実施した。膜タンパク質の結晶化成功の鍵を握っているのが界面活性剤の選択である。今回、界面活性剤の選抜はイオン交換カラムでの脱離をさけるため、非イオン性界面活性剤を中心に 8 種類選抜し、基質を加えた結晶化サンプルを用いスクリーニングを行った。そのうち 2 種類の界面活性剤で回折測定サイズの結晶を得ることに成功した。これら得られた結晶は SPring-8 の生体超分子専用ビームライン BL44XU において回折測定を実施し、最高回折分解能 6 オングストロームと現結晶と同程度の反射であった。次に (2) 結晶中の分子パッキング向上を目指した脂質キュービックフェーズ (LCP) 法を実施した。その結果、微結晶を得ている。これら結晶化の改善策と平行して、(3) 新たに耐熱性の Cytbd 複合体結晶作製による分解能向上を目指し耐熱性シアノバクテリアの発現系構築を行った。発現系構築には成功したが、現時点で生産量が低いことから、今後発現検討中する必要がある。以上の結果より、本年度の実施事項はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
シトクロム bd (Cytbd) 基質複合体構造解析における本年度の取組みでは、劇的な分解能向上は見られなかったが、精力的にCytbd 基質複合体結晶分解能の向上に努めている。しかしながらその矢先、非公開であるが欧州にてCytbdの単体の立体構造が解析されたとの第一報を受けた。そこで本研究では先行グループとは異なる基質との複合体構造で、先行グループの構造より、更に高分解能での構造決定を目指すという方向での意義が明白となった。今後はCytbd基質複合体の高品質結晶による回折強度データ測定を行い、初期位相モデルに欧州グループの構造モデルを用いた分子置換法によって高分解能構造解析を完遂する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Identification of Protein Kinase CK2 Inhibitors using Solvent Dipole Ordering Virtual Screening.2015
Author(s)
Isao Nakanishi, Katsumi Murata, Naoya Nagata, Masakuni Kurono, Takayoshi Kinoshita, Misato Yasue, Takako Miyazaki, Yoshinori Takei, Shinya Nakamura, Atsushi Sakurai, Nobuko Iwamoto, Keiji Nishiwaki, Tetsuko Nakaniwa, Yusuke Sekiguchi, Akira Hirasawa, Gozoh Tsujimoto, and Kazuo Kitaura.
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Journal Title
Eur. J. Med. Chem.
Volume: 96
Pages: 396- 404
DOI
Peer Reviewed
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