2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K18633
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仲田 麻奈 名古屋大学, 高等研究院(農), 特任助教 (70623958)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イネ / 可塑性 / 根系 / 根呼吸 / 水ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
水不足を主体とする水ストレスは、イネ生産性低下の主要な環境ストレス要因である。そのような水ストレスに対する適応性や耐性において、根系機能は重要な役割を果たしているが、炭素収支の点から考えると、根における発達や機能の促進と収量とはトレードオフの関係にある。そこで、根系における炭素収支を、根呼吸の特徴とその生理的意義に注目して解明することを目的とした。本年度は、乾燥ストレス下の根呼吸量と根系発育との関係を定量的に評価した。日本晴とカサラスの染色体断片置換系統群 54系統(N/K CSSL 54系統)のうち、軽度な乾燥ストレス下で生育の優れる系統50番と、日本晴、カサラスを用いて、水耕と土耕で生育させた。その結果、系統50番は、湛水条件では、日本晴とくらべ地上部生育・根系発育ともに差はないが、軽度な乾燥ストレス条件下において、日本晴とくらべ地上部生育・根系発育が有意に優れており、系統50番の根呼吸速度は、湛水条件では、日本晴とくらべ差はないが、軽度な乾燥ストレス条件下において、日本晴とくらべ有意に小さかった。以上の結果より、乾燥ストレス条件に対する適応性の高いイネは、乾燥ストレス条件下において、根呼吸量を減らして根系発育に光合成産物を使っていることが示唆された。さらに、根系を構成する根の中でも、比較的新しく発根した根は、種子根とくらべて、根呼吸量が非常に高いことが明らかとなった。現在、通気組織形成量について解析しており、その結果と根呼吸量と根系発育との関係についても明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
通気組織形成量の解析方法について、重量法による空隙率の算出と横断切片画像を用いた画像解析の両方で評価しており、解析に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
根齢によって呼吸量が大きく異なっていたことより、とくに、生育が進んだイネを対象に呼吸量を測定する際は、根齢の違いを考慮する必要がある。そのことを踏まえ、イネの水ストレス条件下における下において、光合成産物がソース器官からシンク器官に移動する様子を追跡して、植物体内中の炭素動態を明らかにする。
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[Journal Article] Drought induced root plasticity of two upland NERICA varieties under conditions with contrasting soil depth characteristics2016
Author(s)
Daniel Menge, Emi Kameoka, Mana Kano-Nakata, Akira Yamauchi, Shuichi Asanuma, Hidetoshi Asai, Mayumi Kikuta, Roel Rodriguez Suralta, Takuya Koyama, Thiem Thi Tran, Joel DLC. Siopongco, Shiro Mitsuya, Yoshiaki Inukai and Daigo Makihara
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Journal Title
Plant Prodction Science
Volume: in press
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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