2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18649
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山口 公志 近畿大学, 農学部, 助教 (20722721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | OsRLCK185 / XopY / エフェクター / MAPKカスケード / リン酸化 / イネ白葉枯病菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はイネ白葉枯病菌のエフェクター XopYがイネの免疫を阻害すること、その標的として受容体型細胞質キナーゼであるOsRLCK185を同定した。OsRLCK185は病原菌認識受容体OsCERK1と相互作用し、リガンド依存的にOsCERK1によってリン酸化され、活性化する。本研究では、1)OsRLCK185によるMAPKカスケードの発動メカニズムの解析と2)XopYによるOsRLCK185の活性化阻害機構の解析を行う。 1) OsRLCK185はMAPKKKであるOsMAPKKK18と相互作用することから、OsRLCK185によるOsMAPKKK18へのリン酸化を解析した。その結果OsRLCK185はOsMAPKKK18をリン酸化することを明らかにした。さらに、酵母ツーハイブリッド法によりOsMAPKKK18のキナーゼドメインはMAPKKであるOsMKK4と相互作用することを明らかにした。イネプロトプラストでのOsMAPKKK18のタンパク質の一過的な発現を試みたが、OsMAPKKK18のタンパク質を検出することはできなかった。しかしNicotiana benthamianaでOsMAPKKK18のタンパク質を一過的発現させることに成功した。この実験系を利用し、OsMAPKKK18の細胞内局在解析やOsRLCK185とOsMAPKKK18の相互作用解析などを進めている。 2)XopYはOsCERK1によるOsRLCK185の活性化ループ領域へのリン酸化を阻害する。本年度は、XopY のOsRLCK185に対する認識機構に着目し研究を行った。OsRLCK185はサブグループのⅦに属している。XopYとサブグループのⅦに属しているRLCKとの相互作用を酵母ツーハイブリッド法を用いて解析した。その結果、XopYはOsRLCK185と近縁なRLCKと相互作用を示す一方で、系統樹で離れたRLCKとは相互作用を示さなかった。OsRLCK185の活性化ループ領域のアミノ酸配列をXopYが相互作用しないRLCKと比較すると、5つのアミノ酸残基に違いがあることがわかった。今後、それらのアミノ酸残基を置換し、XopYとの相互作用を酵母ツーハイブリッド法により解析することで、XopYによる宿主RLCKの認識機構を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9システムを用いて、OsMAPKKK18の遺伝子破壊株の作出を目指したが、現在のところよい結果が得られていない。しかし、OsMAPKKK18の遺伝子発現抑制株の作出が成功し、イネ免疫におけるOsMAPKKK18の機能の解析を計画通り進めることができる。そのため、本研究はおおむね順調に伸展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光タンパク質や細胞分画法を利用し、OsMAPKKK18の細胞内局在を解析する。さらに免疫沈降法を利用して生体内でのタンパク質間の相互作用を解析し、OsRLCK185とOsMAPKKK18を介したMAPKカスケードの発動メカニズムを明らかにする。また、OsMAPKKK18発現抑制株における耐病性応答の解析を行い、イネ免疫におけるOsMAPKKK18の役割を明らかにする。 XopYによるイネのRLCKの阻害機構を解明するために、注目しているアミノ酸に変異を導入したRLCKを利用して、XopYとの相互作用に与える影響を解析する。さらにOsRLCK185によるXopYのリン酸化部位を同定し、OsRLCK185のリン酸化修飾がXopYの病原性に与える影響を解析する。
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