2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study on oocyte lipids accumulation in marine teleost
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15K18733
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳 蓉うん 愛媛大学, 南予水産研究センター, 助教(特定教員) (10643249)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 増養殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類は、様々な環境に適応し多種多様な繁殖戦略を持ち、生残に有利な色んなタイプの卵を生産する。そして、卵の構成成分のうち脂質は、卵の形質と品質を決定する重要な要因になるものの、その卵内における蓄積や作用メカニズムについては、未だによく知られていない。そこで本研究では、海産魚の中で油球を卵内に大量に持つタイプであるマグロ類の一種「スマ(Euthynnus lineatus)」、そして油球の代わりに大量の卵黄球を卵内に持つタイプであるイワシ類の一種「カタクチイワシ(Engraulis japonicus)」を比較モデルとし、それぞれの卵脂質蓄積機構に関する基礎的な知見を得ることを目指した。まず、HCS LipidToxを用いて卵の中性脂質およびリン脂質を蛍光反応させることで、それぞれの卵脂質タイプを確かめた。その結果、スマの卵内には大量の中性脂質を含む油球が優位であり、カタクチイワシの卵内には中性脂質と大量のリン脂質が混在されている卵黄球が優位であることが明らかとなった。そして、スマとカタクチイワシの血漿から卵脂質源の主たる運搬体である各リポタンパク質(Vldl、Ldl、Hdl)を超遠心分離法で分離し、PAGE上でそれぞれのタイプを同定すると共に、その血中割合を確認した。また、得られたVldl(超低密度リポタンパク)のタンパク質と脂質の部分に二重で蛍光標識した後、それぞれの卵濾胞細胞と培養した結果、以前本研究者によって確認されたサケ科魚類の卵内における脂質取り込み経路と同様に、いずれにおいても主たる脂質源であるVldlが卵母細胞外で代謝され、そこで生じた遊離脂肪酸が卵母細胞内に蓄積されることが確認された。即ち、淡水魚と海産魚、そして油球を形成するタイプと形成しないタイプに大きい差はなく、魚類全般にわたってVldlを中心とした脂質代謝・蓄積(主に中性脂質)経路の存在が示唆された。
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Research Products
(2 results)