2015 Fiscal Year Research-status Report
C/N栄養シグナルと花成制御シグナル統合分子基盤の解明
Project/Area Number |
15K18819
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 長緒 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50609724)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 栄養素代謝 / プロテオミクス / 成長相転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「C/N栄養シグナルと花成制御シグナル統合分子基盤の解明」を目指し,新たなアプローチを試みる。基幹代謝の根幹を担うC/N(炭素/窒素)バランスが植物の花成制御に関与することに着目し,独自の植物材料および実験系も用いた3つの実験課題を実施する。1)ATL31と花成制御因子変異体を用いたC/N誘導性花成経路の遺伝学的解析, 2)C/N応答性の定量的リン酸化プロテオームおよびマイクロアレイ解析を行うことで,C/N誘導性花成制御ネットワーク(既存の花成制御因子群・新規伝達経路)について明らかにする。さらに,3)C/Nに応答した14-3-3依存的TPS活性制御とTPS変異体のC/N誘導性花成を検証することで,C/N応答性花成を直接的に誘導する鍵代謝物とその制御機構の詳細を明らかにする。 当該年度は,既存の花成制御変異体を用いた表現型解析から,C/N栄養応答と光周期花成経路のクロストークに関する知見を得た。また,並行して進めたリン酸化プロテオーム解析から,光周期花成に関わる転写因子のリン酸化がC/N栄養条件に応じて変動することを突き止めた。さらに,植物の一次代謝系おけるに鍵代謝物であるトレハロース-6リン酸の定量解析から,トレハロース-6リン酸蓄積量がC/N栄養状態に応じて変動することも分かった。これらの解析結果から,今まで未知であったC/N栄養素シグナルによる花成制御分子メカニズムの実態が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を構成する3つの実験課題に関して,いずれも当初予定していた進捗が見られた。特に,リン酸化プロテオーム解析で単離したC/N栄養応答性花成の鍵因子と既存の花成変異体を用いた解析結果から得られた知見は,互いに関連しており,重要な情報となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのリン酸化プロテオーム解析と花成変異体を用いた遺伝学的解析から得られた,新規C/N栄養応答性花成の鍵因子に関して,より深い生化学的および生理学的解析を進める。具体的には,鍵因子のリン酸化修飾がタンパク質機能に与える影響を特定する。また,トレハロース-6リン酸経路との関連を精査することで,栄養素シグナルと花成シグナルの統合に関する新たな分子メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に納品したが、支払い手続きが次年度以降になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度中に納品したが、支払い手続きが次年度以降になった物品購入支払いに使用する。
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Research Products
(12 results)