2015 Fiscal Year Research-status Report
プロゲステロンとその代謝産物による体温調節に関する機能形態学的メカニズムの解析
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15K18979
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岩田 衣世 日本医科大学, 医学部, 講師 (00582991)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロゲステロン / 体温調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロゲステロンの体温上昇作用については、女性の生殖機能を診断するうえで非常に役立つ指標の一つとして現在でも使用されている。しかし、プロゲステロンの体温上昇作用経路については、未だ明らかにされていない。本研究では、プロゲステロンの体温上昇に関する作用経路とプロゲステロンの代謝産物が体温上昇に関与している可能性を明らかにすることを目的とする。 プロゲステロンによる体温上昇は0.5度程度と非常にわずかであるため、まず、ラットの体温上昇を正確に測定する方法を確立することを目的とした。ラットの体温測定法としてよく用いられている直腸にプローブを挿入する方法を検討したが、体温は測定できるものの、無麻酔科では、ラットの姿勢やわずかなプローブの挿入角度や長さの違いにより、0.5度程度の上昇がみられたため、違う方法を検討することとした。次に、体内に体温計を埋め込んだまま体温を記録する方法について検討した。体内埋め込み型体温計を腹腔に埋め込み記録をとったところ、無麻酔科で体温の日内変動を測定できたため、この方法を採用することにした。 次に卵巣除去した雌ラットにプロゲステロンを皮下投与し、体温上昇がみられるか検討したが、体温上昇がみられなかった。その後、投与量や投与期間を過去の論文を参考に変更してもプロゲステロン投与による体温上昇がみられなかった。現在、無処置の雌ラットへの投与や体温計の埋め込む位置、体温計の感度を変更して検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
プロゲステロンによる体温上昇は0.5度程度であるため、わずかな変化でも測定できる方法を確立する必要があった。体内に体温計を埋め込む方法を用いることにより、無麻酔科で動物にストレスを与えることなく体温を測定することが可能となった。しかし、プロゲステロン投与による体温上昇の再現性が得られず、検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
プロゲステロンが作用すると考えられている脳内の視索前野にプロゲステロンのペレットを埋め込み体温上昇がみられるか検討する。プロゲステロンによる体温上昇が見られた場合、その上昇が交感神経系を介しているのか、下垂体を介しているのかを検討する。交感神経系を介しているかを検討するため、β3-アドレナリン受容体の阻害剤を投与する。また、褐色脂肪細胞において熱発生マーカー(Ucp1、Ucp3など)の遺伝子発現に変化があるかを検討する。淡蒼縫線核、胸髄中間質外側核のc-fos発現に変化があるかを免疫組織化学染色により検討する。下垂体を介した経路については、まず過去の論文の再現性を得られるかを検討するため、卵巣または甲状腺、または下垂体除去ラットを作成しプロゲステロン投与による体温上昇が見られるかを検討する。 プロゲステロンによる体温上昇の結果が得られなかったときは、プロゲステロンの代謝産物であるアロプレグナノロンが体温調節に影響を与えるかを検討する。まず、脳内視索前野にアロプレグナノロンを投与し体温に変化があるかを検討する。アロプレグナノロンの体温上昇作用が認められた場合、GABAA受容体を介した反応かを検討するため、GABAA受容体阻害剤を投与し検討する。また、視索前野でプロゲステロンの代謝が行われているか検討するため、アロプレグナノロンの合成酵素の遺伝子発現についてin situ hybridization法を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
予想される結果が得られず、条件検討に時間がかかり、次の実験や方法にとりかかれなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次の実験に用いる試薬など物品費に用いる予定である
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