2016 Fiscal Year Research-status Report
Integrative analysis of human and Mycobacterium tuberculosis genomic variations to identify genetic risk factors for tuberculosis onset
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15K19039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大前 陽輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (70722552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結核症 / ゲノムワイド関連解析 / 菌体ゲノム / 宿主ゲノム / タイ王国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒトの結核症感受性化機構を明らかにすることを目的として、ヒトゲノム情報と結核菌ゲノム情報の両面から解析を行う。解析には、研究担当者の研究グループがタイ王国との共同研究により収集したヒトと結核菌両方のゲノムサンプルを有する1330検体の検体バンクを活用する。すでに、ヒトゲノムについては全ゲノム一塩基多型(SNP)情報を取得し、結核菌ゲノムについても全ゲノム配列情報の取得が完了した。これらの情報を相互に解析し、結核症発症リスクとなる宿主遺伝要因と結核菌遺伝要因を同定する。平成27年度においては、研究担当者の所属研究グループの先行研究により同定されたヒトの結核症の若年性発症関連因子であるMAFBに立脚して、特定の結核菌遺伝系統でのみMAFBリスク多型が関連を示すことを見出した。 平成28年度において研究担当者は、MAFBリスク多型以外に特定の結核菌遺伝系統との関連を示すヒトゲノム多型を同定するため、ヒトゲノム全域のSNP情報を対象としたゲノムワイド関連解析を行った。その結果、収集されたタイ人集団中のBeijing株感染患者群でのゲノムワイド関連解析において、結核菌の遺伝系統情報を考慮しない全患者群に比べてサンプル数が少ないにも関わらずより統計的に有意な関連(P値)が見出されるSNPが11個同定された。これらのSNPsは非Beijing株感染患者群においては有意な関連が見出されなかった。その他の分類においても、非Beijing株感染患者群において全患者群よりも有意な関連を示す13SNPs、EAI株感染患者群において全患者群よりも有意な関連を示す7SNPs、非EAI株感染患者群において全患者群よりも有意な関連を示す7SNPsが同定された。本成果は、結核症の病原菌である結核菌のゲノム情報を考慮したゲノムワイド関連解析の世界で初めての実施例となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は平成28年度において結核菌遺伝系統分類に基づくゲノムワイド関連解析から、特定の遺伝系統の結核菌感染時にリスクとなるヒト一塩基多型群を同定した。ただし、得られた成果の再現性確認実験のため必要なDNAマイクロアレイについて、平成28年末に製造メーカー側のトラブルのため年度内の入手が困難になり、本補助事業期間の延長を申請し、承認された。この再現性確認実験は本研究課題の成果をより精緻に達成するために実施が必要であるが、再現性確認実験の対象となる成果が既に得られている点で、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度に得られた成果について、タイ人結核症サンプルおよび日本人結核症サンプルの両方を平行して再現性確認実験を進めていく。タイ人結核症サンプルについては我々の研究グループが収集済みの結核菌の全ゲノム配列情報が利用可能であり、解析により発症リスクと関連する結核菌側の遺伝要因について、現在の分類マーカーよりもさらに精緻なリスク多型を同定することが期待される。日本人結核症サンプルについてはバイオバンクジャパンに登録されているサンプルを活用し、そのゲノム全域の一塩基多型情報を解析することで、本研究成果がタイ国内に留まらず、日本国においても適用可能であるか検証できる。
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Causes of Carryover |
本研究課題で得られた成果の再現性確認実験のため必要なDNAマイクロアレイについて、2016年末に製造メーカー側のトラブルのため年度内の入手が困難になった。そのため、当初計画からの遅延が生じている。この再現実験は本研究課題の成果をより精緻に達成するために実施が必要であることから、本補助事業期間の延長を希望し、承認された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年8月までにDNAマイクロアレイが納入完了見込みであり、2017年10月末までに実験を完了する計画としている。
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[Presentation] Pathogen lineage based analysis of host genetic risk factor in young onset tuberculosis2016
Author(s)
Yosuke Omae, Surakameth Mahasirimongkol, Licht Toyo-oka, Hideki Yanai, Supalert Nedsuwan, Sukanya Wattanapokayakit, Nat Smittipat, Prasit Palittapongarnpim, Pathom Sawanpanyalert, Nuanjun Wichukchinda, Ekawat Pasomsub, Taisei Mushiroda, Michiaki Kubo, and Katsushi Tokunaga
Organizer
The 13th International Congress of Human Genetics (ICHG)’(国際人類遺伝学会)
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都府京都市)
Year and Date
2016-04-03 – 2016-04-07
Int'l Joint Research
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