2015 Fiscal Year Research-status Report
非天然アミノ酸を用いた新規T細胞誘導型ペプチドワクチン開発の基礎研究
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15K19116
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
本園 千尋 近畿大学, 医学部, 助教 (10642910)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチドワクチン / T細胞 / レトロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、腫瘍ならびにウイルス感染症において、T細胞誘導型の治療ならびに予防ワクチン開発が進められている。さらに機能的なT細胞の誘導を目的として、T細胞に強く認識されるアゴニストペプチドの探索が行われているが、依然として合理的な有効な方法は確立されていない。本研究では、本研究では、全く新しい試みとして、T細胞受容体の抗原認識に重要な天然アミノ酸の一部を構造的に良く似た非天然アミノ酸に置換することで、より精密に抗原ペプチドをデザインし、機能的な抗ウイルスT細胞免疫応答を誘導する分子基盤の確立を目的とした。
我々は、マウスレトロウイルスであるフレンドウイルス感染におけるCD4T細胞応答をモデルとして検証を行った。これまで同定した複数のCD4エピトープの内、i18エピトープ(FV env: 462-479)は唯一回の免疫操作でレトロウイルス感染に対し強い抵抗性が誘導出来ることを示した。その一方で、fnエピトープ (FV env: 122-141)では、50%しか抵抗性を示さなかった。そこで、我々は弱い抵抗性しか示さないfn特異的CD4T細胞応答に着目して、機能的なCD4T細胞応答の誘導を目的として抗原ペプチドの改変を試みた。まずfnペプチドをアラニン置換したペプチドライブラリーから、野生型よりも強いCD4T細胞応答を誘導できるペプチドを見出した。さらに非天然アミノ酸で置換したfnペプチドにおいても、野生型より強い応答を示した。現在、改変ペプチドならびに非天然アミノ酸を含むペプチドで誘導したCD4T細胞の機能ならびに感染防御能について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスレトロウイルス感染におけるCD4 T細胞をモデルとして、MHCIIテトラマーの調製やサイトカイン産生解析等のCD4 T細胞の機能に関する評価系を確立し、野生型よりも強いT細胞応答を示すアラニン置換ペプチドならびに非天然アミノ酸を含むペプチドを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いたIn vivoの実験系において、改変ペプチドで誘導したT細胞応答の詳細な解析を継続して進める。本研究をさらに発展させるには、ヒトの実験系での検証、ならびに、結晶構造解析による分子レベルでの評価が必要である。そこで、次年度にはHIV感染における病態発症に深く関わるT細胞エピトープをモデルとした分子レベルの解析を行う予定であり、その準備はすでに整っている。
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Causes of Carryover |
当該年度に使用予定だった消耗品は概ね申請書通りであったが若干の端数が出た。そのため、次年度購入予定の消耗品購入代として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算は申請額ならびに繰越額の合計額となるが、繰越額は消耗品購入に使用予定であり、全体的には大きな変更はなく申請書に記載された計画通りに使用予定である。
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