2015 Fiscal Year Research-status Report
運動と痛みの結びつけにおける認知・神経メカニズムの解明
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15K19190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寒 重之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (20531867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疼痛 / 運動 / 結びつけ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に実験システムの構築をおこなった。本研究においては、被験者の運動の実施に伴い自動的に痛み刺激を提示する必要があり、そのために運動の検出をおこなう運動検出部と実験刺激を提示する刺激提示部、またそれらを統合する統合部から成る実験システムを用いて研究をおこなう。すでに仮のシステムは構築をおこなっていたが、使用していた計測・刺激提示機器が古くなり置き換えが必要になったことから、実験システムの各機器およびソフトウェアの更新をおこない、新システムの構築をおこなった。これにより、より正確に運動検出がおこなえ、また運動検出からより速く実験刺激が提示できるシステムの構築をおこなうことができた。さらに、本実験システムの運用テストも兼ねて、数人の被験者で運動の実施の実施から痛み刺激の提示をおこなうまでの時間を0msから1000msまで100ms間隔でランダムに変化させて、二肢強制選択によって二つに因果関係があるように思うかを答えさせる実験をおこなった。このテストでは、ほぼ100%の正答率で運動検出がおこなえ、また刺激提示時間の制御も正しくおこなえており、構築した実験システムが問題なく稼働させることができることを確認した。また、心理物理実験の結果としては、運動部位と同じ部分に痛み刺激を提示した場合には、運動の実施から痛み刺激の提示までの間隔が100msを過ぎると急激に因果関係の認識が低下すること、また400ms以上では2つのイベントに因果関係を認めないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、平成27年度は心理物理実験をおこない、今後の脳機能画像研究の基礎データを収集する予定であった。しかし、使用を想定していたシステムが機器の老朽化などのために使用できず、実験システム全体の更新をおこなう必要が生じたため、平成27年度のほとんどがこの作業に費やされてしまい、予定していた心理物理実験をおこなうことができなかった。そのため、現在までの進捗状況に関しては「遅れている」と判断せざるを得ない。 実験システム全体の更新作業においては、機器の入れ替えだけでなく、使用するソフトウェアの更新に伴う仕様の変更があり、みずからで作成し使用していたプログラムをこの仕様変更に合わせて修正する必要があったため、実験システムの更新に時間がかかる原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度、実験システムの更新と稼働テストをおこなって、構築した実験システムが安定して動作することを確認することができたので、次年度は前半に心理物理実験を集中的に実施することとして、予定していた心理物理実験を実施し、運動と痛みの結びつけにおける認知心理学的な特性を明らかにするとともに、脳機能画像研究の基礎となるデータの収集をおこなうこととする。また、開始が遅れている脳機能画像研究をできるだけ早く実施するために、心理物理実験全体が終了していなくても、基礎データの収集がおこなえたものから順次脳機能画像研究を進めていくこととする。これらの方策により、平成28年度は研究全体をできるだけ進捗させるようにし、最終年度はほぼ予定通り本研究を進展できるように考えている。
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Causes of Carryover |
当初、平成27年度は心理物理学実験を中心に研究を進めことを予定しており、そのための被験者謝金を計上していた。しかし、刺激提示装置ならびに計測機器の更新が必要であり、実験システム全体を立ち上げ直す必要があり、平成27年度中はこれに時間を多く割くことになったために、当初予定していた心理物理実験をほとんど実施することができなかった。そのために、被験者謝金の支払いはほとんどおこなわれず、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額について、そのほとんどが心理物理実験の被験者謝金である。心理物理実験のデータは、今後実施する予定の脳機能画像研究の基礎データでもあるため、平成28度前半に平成27年度に当初実施する予定であった心理物理実験を集中しておこなうこととし、被験者謝金として、これを全額使用する予定である。
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