2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation for neural and cognitive mechanisms of movement-pain combining
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15K19190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寒 重之 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20531867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動時痛 / 因果関係理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康成人を対象として2種の心理物理実験を実施した。実験1では、被験者に手を握る動作をさせ、手を握る動作から刺激提示までの間隔を0~1000msまで100ms単位で変えて、2つのイベントに結びつきを感じる時間窓を検討した。結果は、400msを越えると動作と痛みという2つのイベントに結びつきを感じず、また結びつきを感じる/感じないという判断が50%となる間隔は約250msであった。一方、実験2では痛み刺激を提示する位置を動作と対側の上肢、また動作と同側の下肢に提示して、動作と痛みの結びつきを感じる2つのイベントの間隔が変化するかを検討した。その結果、動作の開始直後に刺激提示をおこなっても20%程度は結びつきを感じないこと、また判断が50%となるイベント間隔は約200msであり、2つのイベントに結びつきを感じる時間窓は縮小した。さらに、動作と対側上肢に痛み刺激を提示する場合と、同側下肢に刺激を提示する場合では、同側下肢に刺激を提示する場合の方が、2つのイベントに結びつきを感じる時間窓がより小さかった。実験2の結果から、刺激する体部位が動作をする体部位と異なっても動作と痛みの結びつきを感じることが分かった。ただし、被験者の報告では、結び付きに対する印象は異なっていた。動作と同じ体部位に刺激を提示した場合には、比較的明瞭に動作によって痛みが生じたと被験者は感じていたのに対し、動作と異なる体部位に刺激を提示した場合には、動作によって刺激提示を行うスイッチを押して刺激が提示されたような感覚を被験者は持っていた。したがって、運動時痛の模擬の観点かは、動作の種類の影響の可能性もあるが、動作と同じ部位に刺激を提示することが必要と言える。また、運動時痛と感じるか感じないかを脳活動の観点から検討することも目標のひとつであったが、これは今回おこなうことができなかった。これは今後の検討課題である。
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