2017 Fiscal Year Research-status Report
うつ様行動を引き起こす小脳-ゲノミクスとモルフォロジーからのアプローチ-
Project/Area Number |
15K19291
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 悠太 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00580672)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 電気刺激ストレス / 回転ケージ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はDNAマイクロアレイ解析により、うつ様行動を示すラットの小脳において成長ホルモン遺伝子(Gh1)の発現減少を中心とした遺伝子の発現変化を見出したが、この分子メカニズムの特定にはいたらなった。本研究では、転写から翻訳までの間に関与するマイクロRNAや選択的スプライシングに着目し各種マイクロアレイを用い、うつ様行動誘導に関与する因子の同定をを目的として解析を行う。 小脳発達時期の幼若ラットに精神的ストレスを加えるとうつ様行動が惹起することが知られており、本研究では、このモデル動物を用いて解析を行った。 昨年度は、小脳活動や脳血流量を活発にさせることが知られている、有酸素運動をラットに負荷する目的で、回転飼育ケージによる、小脳発達時期の精神ストレスの影響の減弱を期待し、不安およびうつ様行動の変化を解析した。高架式十字迷路試験において、回転ケージ飼育群において不安様行動が抑制されることを見出した。更に強制水泳試験において、同じく回転ケージ群において、うつ様行動の減弱が認められた。 今年度は、このうつ様行動の減弱の分子メカニズムを探索するため、小脳における遺伝子発現解析を行い、電気刺激ストレス後の回転ケージ飼育群で特異的にうつとの関連が示唆されているBdnf遺伝子およびGh1遺伝子の発現が減少し、行動の変化とは対立する結果を示した。この結果より、電気刺激ストレス後の回転ケージ飼育により、うつ様行動の軽減ではなく、双極性障害を示している可能性が考えられる。 今年度の結果より、来年度は電気刺激ストレス後の回転ケージ飼育によりBdnf遺伝子およびGh1遺伝子が発現減少するメカニズムをマイクロRNAアレイを用いて解析することで明らかにできるものと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
行動解析の結果からは、うつ様行動の減弱を示し、遺伝子発現解析の結果ではうつ病患者で発現減少するBDNF遺伝子が発現減少する、対立した結果であったが、文献的検索を深く行うことにより、電気刺激ストレス後の回転ケージ飼育により双極性障害障害モデルを作製した可能性が高いことを明らかにした。この問題点を解決するのに時間を要し1年遅れてしまった
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、BDNFおよびGh1遺伝子が発現減少する分子メカニズムをマイクロRNAアレイを用いて解析し、論文投稿を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画が遅延したため、最後に行う解析であるマイクロRNAアレイを用いた解析と論文投稿費用分が執行できず、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)