2015 Fiscal Year Research-status Report
DCLK1は膵神経内分泌腫瘍細胞のstemness形質を制御する
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15K19355
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
池園 友 久留米大学, 医学部, 助教 (10461419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経内分泌腫瘍 / DCLK1 / EMT / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ヒト膵NET組織を用いた免疫組織化学的染色とその解析 久留米大学病院にて外科切除された膵NET組織全15症例において免疫染色によるDCLK1の発現を検討した.全15症例の内訳は男性/女性; 8/7例,平均年齢; 56(17-77)歳,平均最大腫瘍径; 30.2(12-93)mm,NETG1/G2; 10/5例,機能性/非機能性; 3/12例であった. 全15症例で腫瘍部にびまん性にDCLK1の発現が確認され, 一般的な神経内分泌マーカー(シナプトフィジン、クロモグラニンA、CD56)よりも陽性率が高かった. 染色強度と面積でスコア化し, 腫瘍因子(悪性度、腫瘍径、転移の有無など)との関連性を検討したが, その関連性に有意差は認められなかった. 2. 膵NET株におけるDCLK1発現の決定と、その新規機能の追求 (1),(2) DCLK1を発現している膵NET細胞株CM細胞を用いて, siRNAによりDCLK1ノックダウン細胞を作製した. DCLK1ノックダウン細胞はコントロールと比較し細胞増殖・遊走能が有意に低下した. WB法による解析ではDCLK1ノックダウン細胞でSTAT3及びAKTのリン酸化が低下し,PTEN脱リン酸化の上昇が確認された. (3) DCLK1を発現していない膵NET細胞株QGP1細胞にプラスミドベクターを導入し, DCLK1過剰発現細胞株(QGP1-DCLK1)を作製した. コントロールであるQGP1-EVと比較し細胞形態に著明な変化が認められた. マイクロアレイ法での網羅的に解析では, EMTに関連する幾つかの分子に有意な変化が認められた. リアルタイムPCR法, WB法を用いてメッセージ, 蛋白レベルでの解析では, SLUG及び, 間葉系マーカーN-CADHERIN, VIMENTINが上昇した. またAKT、Erk、FAKのリン酸化, CYCLIN D1の上昇も認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCLK1は神経内分泌腫瘍において、非常にkeyとなる分子であり、その機能は糖代謝に関連するものであると推測していた. しかしながらその後の実験では再現性にやや乏しく, 糖代謝関連の証明が困難となった. しかしながら今回新たに別の重要な機能が分かり, 現在実験継続中である. それに関しては実験計画と概ね予想された結果で順調に実験は進んでいると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
DCLK1が神経内分泌腫瘍において, 重要な分子(主にその腫瘍の増殖や転移に関わる)であるという方向性は、in vitroで確認されたため、現在動物実験モデル(xenograftモデル)による検討を行っている.さらにDCLK1を阻害するとされる薬剤を用いて, その治療効果についても今後検討予定である.
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Causes of Carryover |
理由としては、①実験結果が変わったことで、その後の計画が当初の予定と一部変更となったため。②実験自体は想定よりスムーズに行ったため、一部確認の実験等が省略できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
さらに詳細な検討や新たにデータを解析するために、マイクロアレイなどの網羅的な解析費用にまわす予定である。
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Research Products
(3 results)