2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K19404
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大塚 文之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, バイオバンク, 室長 (30745378)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冠動脈疾患 / 病理 / 血栓症 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)剖検組織標本を用いた冠動脈プラークの病理組織学的評価 当施設における剖検レジストリーの中から、まず冠動脈疾患ならびに経皮的冠動脈インターベンションにおけるハイリスク症例と考えられる維持透析症例30例を抽出し、冠動脈プラークの病理組織学的評価を開始した。Hematoxyline&Eosin染色およびMasson trichrome染色標本を用いて、急性および器質化血栓を有無の評価だけでなく、プラーク形態や石灰化様式などに関する定性的評価、さらにはプラーク面積や石灰化の範囲に関する定量的評価を開始した。 (2)剖検心臓および血液試料の前向き収集 剖検心臓の前向き収集を開始し、22症例の剖検心臓・49血管(冠動脈)において病理組織標本作成前にex vivoにて血管内イメージング(optical coherence tomography)を施行した。病理組織標本作成のため、ホルマリン固定された冠動脈を3-4mm間隔で切り出し、パラフィン包埋後5-6micron厚の組織切片を作成した。またステント留置血管では、ホルマリン固定後に樹脂包埋を行い、約5mm間隔で薄切標本を作製した。Hematoxylin&Eosin染色およびMasson trichrom染色を行い、病理組織標本を作製した。今後、血管内イメージングと病理組織像との対比(matching)を行う予定である。 剖検心臓の前向き収集と並行して、当センターバイオバンクを通じて血漿ならびに血清の収集も行っている。これらの組織や血液試料を利用し、今後プロテオミクスを用いた網羅的なバイオマーカー探索を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設の剖検レジストリーは膨大な症例数を有しており、当初の想定以上に症例の抽出作業に時間を要した。また、ex vivoでの血管内イメージング施行に関しては、1症例あたりの画像取得に要する時間が当初の想定を上回るものであり、イメージングと病理組織像との対比(マッチング)を行うプロセスに到達できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
剖検レジストリーより抽出した症例を対象に、冠動脈プラークの定性的および定量的な病理組織評価を施行し、データ解析を行う。前向きに収集する剖検心臓の血管内イメージング検査に関しては、対象例を絞り、イメージングと病理組織像とのマッチング作業を進めて行く。また、パラフィン包埋組織や血液試料を用いたプロテオミクスによるバイオマーカーの網羅的探索に向け、対象症例・組織の抽出をすすめて行く。
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Causes of Carryover |
金額の大きな物品の購入を行わず、消耗品の購入と旅費を中心とした使用となったため、わずかながら残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費や旅費の一部として使用する予定である。
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