2016 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患におけるヒト上皮細胞microRNAの役割
Project/Area Number |
15K19439
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
五十嵐 ありさ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, (非)研究員 (60572998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | miRNA / アレルギー / 喘息 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息発症に重要な遺伝子IL33を制御するmiRNAを同定するため、IL33発現plasmidを作製し、気道上皮細胞株BEAS-2Bに導入した。Western blottingにより全長IL33蛋白の過剰発現を確認し、Microarrayを用いてIL33過剰発現の有無により変動するmiRNAの網羅的解析を行ったが、plasmid導入によるmiRNA発現変動の影響が大きく、IL33過剰発現により変化するmiRNAは同定できなかった。 一方、腱の細胞においてmiR-29がIL33のアンタゴニストであるsST2の発現を抑制し、間接的にIL33応答を制御していることが報告された。そこで、上皮細胞でもmiR-29がsST2発現を制御しているか否かについて検討を行った。 サイトカインIL4+TNFαの刺激により、BEAS-2BのsST2発現が上昇した。この時、miR-29の発現は低下すると予想したが、実際にはmiR-29aの発現も上昇することが明らかとなった。そこで、miR-29a特異的InhibitorによりmiR-29a発現を抑制したところsST2発現はさらに上昇した。また、sST2の発現上昇は、miR-29aを過剰発現することによっても抑制できたことから、miR-29aがサイトカイン刺激により誘導されたsST2を抑制している可能性が示唆された。 また、miR-29bはサイトカイン刺激により変動しなかったが、miR-29aを抑えることにより発現が上昇した。一方で、sST2の発現はmiR-29aとmiR-29bを同時に抑制することによりさらに上昇したことから、miR-29aとmiR-29bは、相補的に機能していると考えられた。 以上の結果から、上皮細胞においてもmiR-29aは、サイトカイン刺激により上昇したsST2発現を抑制するフィードバック機構として機能し、間接的にIL33を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、今後の方策として新たに追加した「IL33の発現plasmidの作製、IL33強制発現による検討」は当初の計画にはなかったが、順調に実験を行い、ネガティブデータではあるが結果を得ることができた。 また、今回新たに検討を行ったmiR-29とターゲット候補であるsST2の発現については、mi-29aのInhibitorや強制発現を使ってsST2の発現変動が確認できたため、当初29年度の研究計画で予定していた、「サイトカイン刺激におけるmiR-29の影響」についてもInhibitorや強制発現系を使って評価することができた。 しかしながら、InhibitorやmiRNA過剰発現ではmiRNAの影響が評価できないターゲットもあると考えられるため、今後はノックアウト細胞を用いた評価系も確立していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
一つのmiRNAのターゲットは複数あることが予想されるため、今後は、アレルギー疾患で重要な役割を担うsST2発現の制御に関与することが明らかとなったmiR-29が、他にどの様な遺伝子を制御しているのかを探索し、気道上皮細胞におけるmiR-29の機能の解明を目指す。同時に、miR-29aのノックアウト細胞を用いた評価系の確立も行う予定である。 また、2種類のmiRNA(miR-29a, mi-29b)は同じターゲットを制御していると考えられるが、本研究においてその発現パターンには違いが認められた。それらは、細胞内での発現レベルの調整、またはバックアップとしての機能の両方が考えられるが、miRNAの発現調整機構は明らかではない。今後、それぞれのmiRNA単独、あるいはダブルノックアウト細胞を用いてその発現制御メカニズムについても検討を行いたいと考えている。 また、サイトカイン刺激ではmiR-29以外にも変動するmiRNAが認められた。これらmiRNAもアレルギー疾患に関わっている可能性がある為、ターゲットの特定を行い、その機能について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
KO細胞作製を来年度としたため、試薬およびオリゴ代を繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
KO細胞作製のためのオリゴおよび試薬購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)