2016 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍免疫の評価系としての白血病モデルの確立とその成果に基づくヒト免疫療法の強化
Project/Area Number |
15K19550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 潤 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (90528952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | WT1ワクチン / 急性骨髄性白血病 / 癌免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、WT1ペプチドを用いた免疫療法に関し、ヒト臨床試験での検体解析に基づく知見を得るとともに、マウス白血病モデルを作成し、その免疫学的メカニズムの解析や免疫療法の効果増強の手法の確立を目指している。
まず、急性骨髄性白血病の化学療法後寛解例に対するWT1ワクチンによる維持療法のプロトコルにおいて、患者の検体の解析を行い、WT1特異的CTLに関してシークエンスレベルでのクロナリティを検出した。本内容に関しては現在論文投稿中である。また、新たに寛解導入療法後よりWT1ワクチン介入を行う新たなプロトコルを作成し症例集積を開始している。
次にヒト白血病遺伝子であるMLL/AF9遺伝子をマウス造血幹細胞移植に導入することによりマウス白血病細胞の作成に成功した。このマウス白血病細胞を血中より移植することにより、マウスに白血病を発症させることができた。現在、未治療群、WT1ワクチン治療群、抗PD1抗体治療群、WT1ワクチンと抗PD1抗体の併用群での治療効果を比較している。また、WT1ワクチン投与に伴うWT1接種部位皮膚、所属リンパ節、血中のそれぞれの免疫動態の解析を行っている。ワクチン投与後4-6週目に血中へのWT1特異的CTLの誘導が最も多く、その後WT1ワクチン接種を継続しても減弱していくことが明らかとなった。この傾向はヒト臨床試験検体でも同様であった。そこで、WT1ワクチン投与を継続しても4-6週目をピークに減弱していくメカニズムの解析を目指している。まずは、WT1特異的CTLのワクチン投与前、ピーク時、減弱時の質的差異を次世代シークエンサーを用いたRNAシークエンスで比較予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト臨床試験は法案の改正に伴いモニタリングや監査の導入など手続きを要し症例集積までの時間を要したため予定よりやや遅れているが、現在1例目が無事終了し、今後の予定通りの症例集積が見込まれる。
マウス実験においても、血中投与により白血病を発症させ得、かつWT1ワクチン投与にてその発症を遅らせうるマウスモデルが完成した。現在はPD1抗体との併用の評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなヒト臨床試験プロトコルにおける症例集積、WT1特異的CTLの解析を行っていくとともに、確立したマウス白血病モデルを用い、WT1ペプチド免疫療法の効果増強手法の確立を目指していく予定である。
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Causes of Carryover |
微小差額が出たため来年度に繰り越します。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の実験に使用する予定である。
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[Journal Article] Association of WT1 IgG antibody against WT1 peptide with prolonged survival in glioblastoma multiforme patients vaccinated with WT1 peptide.2016
Author(s)
Oji Y, Hashimoto N, Tsuboi A, Murakami Y, Iwai M, Kagawa N, Chiba Y, Izumoto S, Elisseeva O, Ichinohasama R, Sakamoto J, Morita S, Nakajima H, Takashima S, Nakae Y, Nakata J, Kawakami M, Nishida S, Hosen N, Fujiki F, Morimoto S, Adachi M, Iwamoto M, Oka Y, Yoshimine T, Sugiyama H.
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Journal Title
Int J Cancer
Volume: 139(6)
Pages: 1391-1401
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Syndecan-4 as a biomarker to predict clinical outcome for glioblastoma multiforme treated with WT1 peptide vaccine.2016
Author(s)
Takashima S, Oka Y, Fujiki F, Morimoto S, Nakajima H, Nakae Y, Nakata J, Nishida S, Hosen N, Tatsumi N, Mizuguchi K, Hashimoto N, Oji Y, Tsuboi A, Kumanogoh A, Sugiyama H.
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Journal Title
Future Sci OA
Volume: 2(4)
Pages: FSO96
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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