2015 Fiscal Year Research-status Report
未熟児における新たな腸管発育評価法の確立と腸保護戦略
Project/Area Number |
15K19649
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
奥野 貴士 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (80634188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新生児 / 消化管発育 / 腸保護 / 経腸栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では未熟児に生後早期から安定して経腸栄養を実施するため、消化管発育の評価法を確立し、消化管発育・運動促進物質の胃腸内投与による治療介入の可能性の探求を目的とする。より積極的で安全な未熟腸管の発育促進、腸管蠕動コントロールをすることにより、 経腸栄養を推進するための治療介入法の確立が喫緊の課題と考えた。腸保護、腸管発育の評価確立を目的とした臨床研究を2015年7月に福井大学医学系研究倫理審査委員会の承認を得て開始し、現在は症例蓄積を行い、18例のデータ集積を行った。具体的には、福井大学医学部附属病院新生児集中治療室に入室する極低出生体重児に対し、超音波検査で、上腸間膜動脈の流速、腸管壁厚などをを測定し、嘔吐、便の性状と量、胃内容物の性状と量、腹囲の変化、腹部の皮膚色、血圧、脈、 呼吸数、施行されている治療を詳細に記録しスコア化を行っている。また、日齢0、4、7、14、28の患者の便、胃液、血清、尿を採取し、冷凍保存を行い、IL-1β、IL-6、TGFα、IFNγ、IL-10、VEGF、G-CSF、エリスロポエチン、胃内容液および便中のサーファクタント関連物質の測定に備えている。消化が良好で、哺乳量を順調に増加可能であった極低出生体重児と、消化不良のため哺乳量を増加させることが困難であった極低出生体重児の臨床スコアと、腸管炎症、抗炎症、保護に関わると考えられる生体マーカー産生との相関の有無を検討し、未熟児の経腸栄養に影響を与える因子を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例蓄積数が、当初の予定より遅いペースであり、研究協力施設である福井県立病院の協力を得て、症例蓄積を重ねる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
症例蓄積数を増やすため、研究協力施設である福井県立病院の倫理審査委員会に申請し承認を得られており、症例蓄積を重ねる予定である。今後は、未熟児の腸管発育促進作用を持つと考えられる Vascular endothelial growth factor(VEGF)などの血液中サイトカイン、胃内のサーファクタント蛋白質Dなどを測定し、超音波検査所見や臨床症状のスコア化により半定量化した消化管発育程度との相関を明らかにする予定である。また、消化管運 動促進作用のあるエリスロマイシンおよび腸保護作用が期待されるサーファクタントの腸管内投与を、未熟腸管モデルマウスおよび腸管感染モデルマウスに対し行い、その効果を検討する準備を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は臨床研究の臨床スコアと検体の蓄積を行っており、集積した検体で、バイオマーカーを測定する薬品購入費を次年度で申請する予定であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度と次年度に蓄積した臨床データとバイオマーカーを解析するため使用する予定である。
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