2015 Fiscal Year Research-status Report
メラノーマの臨床形態から治療標的となる遺伝子変異を予測する
Project/Area Number |
15K19684
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
皆川 茜 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (80467183)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | BRAF変異 / メラノーマ / ダーモスコピー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.患者情報の集積:2006年から2015年に当施設を受診したメラノーマ症例を抽出し、受診時年齢、性別、病変部位、病期分類などの診療情報を集積し、リストを作成した。2.メラノーマ病変の画像解析:受診時に原発病変の臨床写真が取得された症例について、病変画像を集積した。デジタルカメラおよびダーモスコープで撮影した臨床画像について、病変内の色の種類や分布、病変の形、ダーモスコピー所見の解析を2検者で行った。3.臨床経過に関する情報の収集:診療録を参照し、病変の発生時期、受診に至るまでの経過等の情報を収集し、データベース化した。4.遺伝子変異の解析:手術等により病理検体が採取された症例については、腫瘍細胞のBRAF、NRAS、KIT遺伝子変異の有無についてサンガー法で検索を行った。しかしサンガー法では解析に含まれる検体の3割以上に遺伝子変異が含まれなければ変異ありと判定することができない。そこで変異検出の正確性を期すため、腫瘍細胞が豊富に採取可能な進行病変(腫瘍厚2mm以上)からまず解析を開始した。 体幹四肢に分布する病変について、画像解析の結果と遺伝子変異の関連を調べたところ、BRAFV600E変異陽性のメラノーマでは以下の特徴があることが示された。 1.年齢が若く、下肢に多い。2.長い期間は緩徐に進行し、ある時点から急激に増大し始める。3.茶色を含む多彩な色調を有し、斑と結節からなる。4.ダーモスコピーでは点状血管、ヘアピン血管、線条、乳紅白色領域の頻度が高い。 臨床情報および病変の形態から、メラノーマの遺伝子変異を予測することがある程度可能になるかもしれない。また、当研究はBRAFV600E変異陽性のメラノーマが母斑から生じるという仮説を支持し得る知見と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例リストの作成及び画像の集積については、予定より早く終了した。画像解析及び遺伝子変異の解析は予定通り遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
画像解析及び遺伝子変異の解析を続行する。画像解析の結果と遺伝子変異の関連について、体幹四肢以外に分布する病変についても解析を進める。最終的には統計学的解析を行い結果をまとめる。考察等を加えて論文化の予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度はデータベースからのデータ抽出作業が主であったため、当初計画で見込んだよりも多くの物品を必要としなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を発表するため国際学会に出席する。その旅費を支出する予定である。また、データ解析のためパソコン等の電子機器を購入する予定である。平成28年度請求額と合算して支出する予定である。
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Research Products
(15 results)