2015 Fiscal Year Research-status Report
メラノーマの腫瘍内および腫瘍間におけるBRAF変異の多様性の解析
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15K19685
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
境澤 香里 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (20419352)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メラノーマ / ddPCR法 / BRAF変異率 / 部位別定量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
部分的に病変部を細出することの可能な、比較的大型のメラノーマを選別し、ダイレクトシークエンスでBRAF変異を有する症例を11例集めた。そのうち、転移巣の切除組織がある症例は8例だった。転移巣8例中、3例でBRAF変異を認めなかった。 ①原発巣を部分別に細出し抽出したDNAについてBRAF変異の割合の検討:原発巣11例のうち、比較的小型な2例は2か所、その他は3か所を部分的にlaser microdissection法で切り出し、DNAを抽出した。DNAは非常に微量であったため、cast PCR法での推奨DNA量に到達せず、解析はdroplet digital PCR(ddPCR)法にて行った。ddPCR法によるBRAF変異の定量解析の結果、3(2)か所のBRAF変異率の平均値は18.5%~83.3%だった。同症例における部位別の変異率の差は50%以上の変異率を持つ症例についてはまれだった。②原発巣と転移巣におけるBRAF変異の比率の定量的な比較:転移巣のダイレクトシークエンス法での解析でBRAF変異を認めなかった3例の、原発巣での変異率は74.1%、34.4%、18.5%だった。転移巣での変異率をddPCR法で解析したところ、順に1.30%、0.19%、0.02%でほとんど変異陽性の細胞が含まれないことが示唆された。 これらの結果より、原発巣の腫瘍細胞は、BRAF変異細胞とBRAF変異のない細胞が比較的均一に混ざり合っている可能性が考えられた。転移巣でのBRAF変異の消失は、腫瘍細胞が微量である故の偽陰性の可能性もが完全には否定できないものの、きわめて高感度のddPCRでもBRAF変異の割合は1%以下であり、BRAF変異のないメラノーマ細胞で転移巣が占められていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cast PCR法での実験はデータが得られなかったが、1年目で予定していた実験はおおむね終了し、11症例の免疫染色の準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
BRAFV600E変異特異的抗体であるVE1を用いた実験を開始している。予備実験で染色条件を確認したが、全自動免疫染色装置を用いた染色が最適と考え、条件設定を進めている。Laser microdissectionで切り取った腫瘍部位に間質細胞や炎症細胞の混入が極めて少ないことを、VE1免疫染色に加えて、MART-1免疫染色を用いた病理組織所見で確認し、BRAF変異率の差がメラノーマ細胞以外の細胞の混入に起因するものではないことを示す。
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Causes of Carryover |
当初計画していたよりも、安価で実験を進めることができた。また、想定した場合よりもDNAが微量であったことより、cast PCR法からdigital droplet PCR法に主たる解析方法を切り替えたのが予定よりも早期だったため、cast PCR法を用いた実験が少なかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
BRAFV600E変異特異的免疫染色法をVENTANA全自動免疫染色装置で開始する予定である。そのための実験試薬などの消耗品費や論文投稿費として、平成28年度請求額と併せて使用する計画である。
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[Journal Article] Clinical characteristics associated with BRAF, NRAS and KIT mutations in Japanese melanoma patients2015
Author(s)
Kaori Sakaizawa, Atsuko Ashida, Aya Uchiyama, Takamichi Ito, Yasuhiro Fujisawa, Dai Ogata, Shigeto Matsushita, Kazuyasu Fujii, Satoshi Fukushima, Yoshitsugu Shibayama, Naohito Hatta, Tatsuya Takenouchi, Jiro Uehara, Ryuhei Okuyama, Naoya Yamazaki, Hisashi Uhara
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Journal Title
Jounal of Dermatological Science
Volume: 80
Pages: 33-37
DOI
Peer Reviewed
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