2017 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部重粒子線治療における口腔粘膜炎発症線量の解析
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15K19769
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武者 篤 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (60637122)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 粒子線治療 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔粘膜の表面線量をMIM Maestro ver.6.0.2(MIM Software Inc.USA) を利用し3次元的にモデル化し、粘膜炎発症部位と口腔粘膜表面線量モデルを比較検討した。結果、高線量域は一致し、Grade2(RTOG)以上の口腔粘膜炎は、口蓋は43.0Gy(RBE)以上、舌では54.3Gy(RBE)以上で有意差をもって発症するという結果を得た。尚、上記結果は国際雑誌(PLoS ONE 2015.10(10): e0141734.)に掲載されている。 現在は口腔粘膜表面線量モデルにて口腔粘膜炎の発症線量や部位・程度が予想できるようになったので、口腔粘膜炎の発症防止に本モデルを利用している。具体的には固定装置の一つであるマウスピースを利用して、口腔内の可動粘膜を照射野付近から遠ざけることで粘膜炎の発症防止をしている。上記内容は国際雑誌(Physics and Imaging in Radiation Oncology 2017.1-4 )にも受理され、現在臨床でも利用している技術である。また、重粒子線治療開始前に本モデルを患者や医療従事者(特に看護師や歯科衛生士)への情報提供に使用している。具体的には患者個々にパンフレット等を配布し、その際に自身の口腔粘膜表面線量モデルを提示し、説明している。本モデルを使用した患者のQOL 評価やアンケートについても施行し、可能な範囲で患者満足度を確認することを検討している。また、看護師や歯科衛生士についても、アンケートを施行し、本モデルの看護やケア等への有用性について検討中である。 本モデルが重粒子線治療にて運用することが現実的であったので、可動施設が重粒子線治療よりも限定的ではない頭頸部領域における強度変調放射線治療にも応用中である。一部の結果を国際雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
口腔粘膜表面線量モデルによる評価の論文が受理され、その論文を基に継続して研究を続けている。本モデル使用の有無でのQOLの推移やX線治療にも応用しており、当初の計画以上に進展している。X線治療においても一部の結果をまとめ投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔粘膜表面線量モデルにて口腔粘膜炎の発症線量や部位・程度が予想できるようになったので、重粒子線治療開始前に本モデルを患者や医療従事者(特に看護師や歯科衛生士)への情報提供に使用している。具体的には患者個々にパンフレット等を配布し、その際に自身の口腔粘膜表面線量モデルを提示し、説明を行う。治療前に口腔粘膜炎発現の部位や程度を知ることができることで、治療中の口腔内のセルフケアや食事内容などに注意を払うことが可能であると予想される。本モデルを使用した患者のQOL 評価やアンケートについても施行し、可能な範囲で患者満足度を確認することを検討している。また、看護師や歯科衛生士についても、アンケートを施行し、本モデルの看護やケア等への有用性について検討する。現在は前向き試験中である。 本モデルが重粒子線治療にて運用することが現実的であったので、可動施設が重粒子線治療よりも限定的ではない頭頸部の強度変調放射線治療にも応用している。一部の結果をまとめ国際雑誌に投稿中であるので、今後も同様の研究を展開予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は解析がスムーズに進み、新たにデータの解析の必要性が生じてきた。今後も継続して国際雑誌への投稿へとつなげる予定であり、英文校正や投稿費用に使用する予定である。
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