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2015 Fiscal Year Research-status Report

加速器によるモリブデン-99の製造とテクネチウム-99mの分離精製

Research Project

Project/Area Number 15K19789
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

池田 隼人  大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (30649083)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords核医学 / テクネチウム-99m / モリブデン-99 / 溶媒抽出 / 加速器 / 放射性医薬品製造
Outline of Annual Research Achievements

核医学検査に最も多く用いられている核種であるテクネチウム-99mは製造している原子炉の老朽化により,今後はサイクロトロンを用いた製造が推奨されている。本研究ではサイクロトロンを用いた製造を目指して,その分離精製方法の開発を目的としている。サイクロトロンの照射を完了したターゲット(モリブデン)を溶液としてそこから溶媒分離でテクネチウムのみを分離することとした。目標はモリブデンがppb以下の薬剤として提供できることである。
本研究ではメチルエチルケトンを始めとした有機溶媒を用いてテクネチウムおよびターゲットの主成分であるモリブデンの測定を行った。ターゲット溶液を模した水溶液として,三酸化モリブデンを2 M水酸化ナトリウム水溶液に溶解したものを用いた。テクネチウムの抽出実験の時はこの溶液に10 MBqほどの過テクネチウム酸ナトリウム注射液を加えた。テクネチウムは放射線測定で,モリブデンはICPによる微量測定により行った。
結果は,メチルエチルケトンが非常に優れたテクネチウム抽出剤であると同時に,非常に多くのモリブデンも同時に混入させてしまう事がわかった。他の溶媒(ヘキサン,酢酸エチル,クロロホルム,ジクロロメタン,四塩化炭素,ジエチルエーテル)ではモリブデンの混入は検出限界以下であったがテクネチウムも10%程度しか抽出されなかった。これは過テクネチウム酸イオンがメチルエチルケトンと化学反応を起こしていることによる効果が考えられるが,詳細は今後さらなる実験を行う必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究においてはメチルエチルケトンと同等のテクネチウム抽出率(メチルエチルケトンはほぼ100%)であり,モリブデンの混入がより少なくなるような溶媒を探すことをひとつ目の実験の目標とした。有機溶媒には水に溶けないものが多くあるが,その中でも親水性(僅かに溶解するものもある)や極性をさまざまに選択してテクネチウムおよびモリブデンの有機溶媒への移行量を調べた。
いくつかの検討の結果,ケトン基を持つもの以外ではテクネチウムの抽出効率が非常に悪いことがわかった。様々な溶媒を調べたが,ケトン基を持つ溶媒はメチルエチルケトンしか調べることができなかった。平成27年度において実験を行うことができたのは,メチルエチルケトンは対象性の低いケトンであった。今後はケトン基を持つ溶媒に絞って実験を重ねる必要があり,対象性の高いジエチルケトンと親水性がより低くなったメチルイソブチルケトンでケトン基によって抽出効率が上がるかどうかを確かめる必要が出てきた。ただし,本研究ではもともと,メチルエチルケトン以外の溶媒でテクネチウムが抽出されなくても問題ない設計としており,同時進行で樹脂によるモリブデン除去実験を行うことで遅れは取り戻すことが可能である。
また平成27年度においては加速器実験にて作成したターゲットでは抽出実験を行っていない。本研究のターゲット形態が粉末であるため,加速期実験において汚染対策が必須となる。金属ターゲットもしくはペレット状にしたターゲットの作成も視野に入れ,その後の溶液状態をよく検討する必要もある。

Strategy for Future Research Activity

これまでは実験室による実験のみであった。実験室で行う実験は継続して行うこととする。自動振盪機を導入してより効率よく測定サンプルを作れる体制を整える。
樹脂によるモリブデン除去方法は,有機溶媒で行うことで薬剤にした時の濃度コントロールが容易になるので,有機溶媒の状態でモリブデンを除去することを検討する。まずは過去の検討によりある程度のモリブデンが除去できることがわかっている中性のアルミナカラムを用いて検討することとする。粒径による違いや,樹脂の再利用の可能性も検討する。また,アルミナだけでなくイオン交換樹脂でも同様の検討を行う。また理想としては有機溶媒をカラム樹脂に通した場合にテクネチウムのみがトラップされ,蒸留水で数回洗浄し(この時にはテクネチウムはトラップされたまま),その後生理食塩水で流してテクネチウムを薬剤として落とす方法がある。こちらは既存の樹脂の中でそのような性質のものがあるかどうかも調べながら実験を行う。
加速器による実験では,天然のモリブデンにプロトン照射を行い,その後のターゲットを用いてテクネチウムの抽出率を求める。モリブデンに関しては実験室による実験で十分検討を行い,モリブデンが検出されない方法を選択することで,モリブデンが混入しないものとする。これはRI実験を行ったものをICPで測定することができないためである。
また,平成27年度の実験結果を補完する実験を行えば論文投稿を行い,世間に本研究の成果を広める。それに先立ち,平成28年度6月にアメリカ核医学会において本研究の成果を一部発表する予定である。

Causes of Carryover

自動振盪機の購入を3月に予定していたが,選定の段階でデモ機が修理中だったため,検討する日程が大きく遅れた。そのため,年度内に購入予定だった機械を購入できなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度に自動振盪機を購入して対処する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Extraction of technetium-99m by some organic solvents from macro scale molybdenum solution.2016

    • Author(s)
      Hayato Ikeda, Yoshihiko Hayashi, Naruto Takahashi, Kozi Nakai, Atsushi Shinohara, Tadashi Watabe, Yasukazu Kanai, Hiroki Kato, Eku Shimosegawa, Jun Hatazawa
    • Organizer
      SNMMI 2016 Annual Meeting
    • Place of Presentation
      San Diego, California
    • Year and Date
      2016-06-11 – 2016-06-15
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2017-01-06  

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