2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K19838
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
北條 秀博 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60638774)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物学的効果比 / 陽子線 / 増感 / 拡大ブラックピーク |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子線治療の一つである陽子線治療は、その物理学的に優れた線量分布から、局所進行癌に対しても適応され、化学療法の併用も行われる。しかしX 線と比較して、陽子線と化学療法薬剤との相互作用に関する研究は、限られているのが現状である。拡大ブラックピーク(SOBP)の位置により生物学的効果比(RBE)が異なる特徴が報告されている。その位置による増感効果の違いについて十分な検討がなされていない。そこで我々は、SOBPの位置による増感効果に違いがあるかを検討した。 ヒト食道癌細胞株を用い、235MeV陽子線を4つの深さ(#1:平坦部、#2:SOBP前方、#3:SOBP中心、#4:SOBP後方)に細胞を置き、コロニー法を用いて、RBE10を求めた。X線照射は6MVを使用した。化学療法併用は5-FUを用い食道癌細胞株に対して、単独照射と同一条件で行い、Sensitivity effective ratio (SER)を用いて検討した。 いずれの細胞もSOBP後方になるにしたがって、RBEが増加する傾向が見られた。SER10に関しては現在解析中である。更に、そのメカニズムについて、DNA損傷を中心に検討を行っている。 化学療法併用陽子線療法の基礎的検討は今まで報告がなく、今後の陽子線治療計画を行う上で、重要な知見となることが予想される。以上の結果を踏まえ、日本放射線腫瘍学会第28回学術集会で発表を行った。現在、論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗に関しては週1 回分野内で報告会を行い、マネジメント方法、実験手法等に関して情報を共有し、遅延、サンプル数の不足が見られるようであれば助言を求めた。このため、おおむね計画通り順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
SOBPの位置によるDNA損傷の違いについての検討を行い、解析を進める予定である。RNAシークエンスやマウスを用いたin vivoの実験系については、シークエンスの手法、マウスの管理や照射の方法について更なる検討が必要となる。分野内外で実験手法や検討方法等、助言、指導を受ける予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会に参加予定であったが、その時点での研究進捗状況が悪く研究を優先したため、次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNA損傷等の更なる検討を行うため、昨年度より試薬やガラス器具、プラスチック器具が更に必要となることが予想される。また、論文作成における校正費や投稿費に使用する予定である。
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